2009 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプス前カルシウムストアの細胞分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
21300146
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 温之 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (10194979)
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Keywords | 海馬 / シナプス伝達 / カルシウムイオン / 神経伝達物質放出 |
Research Abstract |
細胞内ストアからのカルシウム放出を担うリアノジン受容体が海馬苔状線維のシナプス前部に存在することがこれまでの研究で明らかになった。リアノジン受容体からのカルシウム放出を促すカフェインを投与すると苔状線維シナプス伝達の著明な亢進が生じるが、その機序の詳細については不明である。本研究では、カフェインによるシナプス伝達亢進の一因として、カフェイン投与が苔状線維軸索における活動電位波形の変化を引き起こす可能性について検討した。マウス海馬スライスにおいて細胞外記録法により軸索の集合活動電位を記録した。カフェイン投与により軸索集合活動電位の振幅と潜時の軽度の増大を認めた。この効果は無カルシウム液中でも観察され、また、4-アミノピリジン投与により電位依存性Kチャネルを選択的に抑制するとカフェインと同様の効果(潜時の軽度の増加)がみられたことから、カフェインによるリアノジン受容体を介する細胞内カルシウム放出が軸索内のカルシウムレベルの上昇を引き起こし、これが活動電位下降相を規定する電位依存性Kチャネルを抑制することで活動電位波形を遷延化させたと考えられた。特異抗体を用いた免疫組織化学的解析では2型(心筋型)リアノジン受容体が苔状線維の神経終末部ではなく軸索に密に存在することから、これらの軸索内リアノジン受容体がカルシウム放出を引き起こし、シナプス前部での活動電位波形を延長することで伝達物質放出を促進する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)