2009 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いた生体組織における各種物理特性の異方性に関する検討
Project/Area Number |
21300162
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 哲也 Kyoto University, 情報学研究科, 教授 (00209561)
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Keywords | MRI / MR Elastography / 弾性テンソル / 組織異方性 |
Research Abstract |
拡散テンソル画像(DTI)法は水分子の拡散が組織の構造によって異方性を示すことを利用したMRI撮像法で、神経組織を対象に臨床応用も試みられているが、本研究では弾性あるいは音響特性、電気的なインピーダンス特性など、拡散以外にも組織が有する物理特性を対象としてテンソル画像を作成することにより組織構造や異方性を可視化することを目的とする。我々は既に臨床用MRI装置でMR性画像(MRE)の撮影を実現しており、平成21年度はMREにて得られる弾性特性の異方性(弾性テンソル)と組織構造の特徴との関係について検討するため、細胞スケールに匹敵する数十ミクロンの高い空間分解能を持つ7T動物用MRI装置にてMRE撮影を行う計画で、圧電素子を用いて振動を発生しMRE撮像を行う環境を構築した。しかし、撮影視野が数cm程度以下に限定された動物用MRI装置による高精度の弾性率計測には、臨床に用いられているMREのような波長が数cmとなる百Hz程度よりも高い周波数の弾性波を用いる必要があるため、本年度は撮像環境を構築した段階にとどめ、組織弾性率の周波数依存性に関する問題の調査を優先することとした。一方、我々としては未着手で原理検証を含めた開発が必要であり、また弾性波とは異なり撮影視野制限の問題が生じないと考えられる電気的インピーダンス計測法(MREIT)に関する基礎検討に平成22年度の計画から前倒しで着手し、直流電流を通電した際の画像1化に成功した。未だ均質なファントムを対象とした計測に限定されているものの、得られたインピーダンスは電気的に直接計測した実測値と一致することを確認した。MRI画像からの多次元テンソル算出処理については、拡散テンソル画像を対象に画像のS/N比と算出テンソルの精度に関するシミュレーションを行い、画像計測を行う多方向のベクトルの組み合わせが異方性の程度によって変化することを明らかにした。
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