2011 Fiscal Year Annual Research Report
リハビリテーションによる内的動機付けの神経・分子生物学的基盤
Project/Area Number |
21300205
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, チームリーダー (80214196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 強 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, 研究員 (20419708)
山中 創 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, リサーチアソシエイト (10415573)
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Keywords | ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET) / マカクザル / 脊髄損傷 / 側坐核 / ドーパミン / セロトニン / motivation / 5HT1B受容体 |
Research Abstract |
脳梗塞や脊髄損傷患者の多くは運動機能の麻痺と併発して、鬱症状を示すことがしばしば観察され、この鬱症状がもたらす意欲の減退は、運動の減少やリハビリテーションの拒絶を招き、しばしば運動機能回復の妨げとなることが臨床の現場で問題となっている。最近我々は、脊髄損傷モデルサルを用いた脳機能画像研究により、損傷後の機能回復時において、側坐核の活動の上昇が認められること、並びにこの側坐核と一次運動野(M1)領域の活動との間に損傷前には見られなかった正の相関(同期的活動)が認められ、このことから中枢神経損傷後の運動機能回復にはドーパミン神経による動機付けによる促進が関与する神経機構が存在することが示唆された。今年度は特に、1)、損傷後の回復過程に対する側坐核破壊の影響の解析、および、2)損傷後の回復過程における側坐核における5HT1_B受容体の経時的変化の解析について検討を行った。 1)では、脊髄損傷後における側坐核の役割を調べるために、脊髄損傷前にイボテン酸を用いて側坐核を両側性に破壊し、その後に脊髄損傷を施して、回復過程の経時変化を行動評価した。その結果、側坐核の破壊することによって脊髄損傷後の把握運動の速度や一定回数の訓練に必要な時間には変化はなく、行動的に明らかな鬱症状は認められなかった。しかし、把握運動の成功率の回復には明らかな遅延が認められ、通常は完全な回復が認められる3ヶ月の訓練を行ったにもかかわらず、精密把持運動の完全な回復には至らなかった。2)では、5HT1_B受容体に特異的なPETプローブを合成し、無麻酔のサルを用いてPET撮像を行った。その結果、5HT1_B受容体の結合活性はサルの側坐核において高いことを明らかにした。脊髄損傷前後の変化については現在、解析中である。
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Research Products
(7 results)