2010 Fiscal Year Annual Research Report
ACTN3遺伝子型からみた骨格筋の適応性に関する研究
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21300238
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内藤 久士 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70188861)
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Keywords | 遺伝子 / 競技力 / 骨格筋 / ACTN3 / 持久力 / 無気的作業閾値 |
Research Abstract |
競技パフォーマンスに関連付けられる候補遺伝子の一つとしてとして、骨格筋内のαアクチニン3タンパク質の発現調節に関わるACTN3遺伝子が注日されている。本年度は、ACTN3遺伝子型と持久性能力、特に無気的作業域値との関連性について横断的に検討することを目的とした。被験者は、中長距離を専門とする男子陸上競技者(20±2歳)56名であった。ACTN3遺伝子型は、口腔粘膜または血液サンプルを用いてポリメラーゼ連鎖反応TaqManプローブ法によってRR、RX、XX型の3タイプに分類した。その結果、全被験者のACTN3遺伝子型分布はRR型13名、RX型30名、XX型13名でおよそ1:2:1の比であった。その後、各ACTN3遺伝子型から6名を選出し1段階3分間の多段階漸増負荷テストを行い、血中乳酸濃度からLT、OBLA時の走速度を算出した。その結果、1500m、5000m、10000m走の平均走速度は、1500mがRR型378±12m/分、RX型372±14m/分、XX型364±16m/分、5000mがRR型341±9m/分、RX型336±14m/分、XX型331±13m/分、10000mがRR型329±7m/分、RX型327±12m/分、XX型316±15m/分であり、いずれの種目においてもACTN3遺伝子型の違いによる有意な差は観察されなかった。しかしながら、RR型とXX型の2群間の比較では、5000mおよび10000m走においてRR型が有意に速い結果を示した。LTおよびOBLAスピードは、RR型253±35m/分、RX型273±21m/分、XX型259±33m/分、およびRR型300±21m/分、RX型311±16m/分、XX型305±21m/分であり、3つのグループ間に有意な差は観察されなかった。本研究の結果からは、ACTN3遺伝子型と持久的能力との間に何らかの関連性があることが予測されるが、今後さらに被験者の数を増やして検討を加えていく必要性があると思われる。
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