2011 Fiscal Year Annual Research Report
香辛野菜の調理加工による機能性含硫成分生成と体内プロドラッグ効果の検証
Project/Area Number |
21300272
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (00244533)
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Keywords | 香辛成分 / ジアリルジスルフィド / 加熱調理 / 細胞毒性 / アリシン / ジアリルトリスルフィド / ショウガオール / グルタチオン付加体 |
Research Abstract |
ネギ属やショウガ科野菜の香辛成分(スルフィド類やジンゲロール類)は、高い生理活性を示す一方で、動物種や摂取濃度により毒性を示すことも知られている。本研究では、調理加工に伴い生成する重要な香辛成分に着目し、その生理機能や作用機構、毒性濃度を明らかにすることを目的とした。 煮熟などの加熱調理においてニンニク中で増加したジアリルジスルフィド(DADS)は、肝臓での代謝産物としてアリルメチルスルホキシド(AMSO)とアリルメチルスルホン(AMSO2)に変化することを明らかにできた。この2つの含硫化合物が細胞毒性を示す濃度は高く、通常のニンニクまたはニンニクサプリ摂取量からは問題が生じないと推察された。むしろ、異臭(体臭)に関与する成分として知られているため、そちらでの欠点が顕在化した。これにより、ニンニクの調理加工からDADS生成、体内代謝の経路を推定でき、途中で生理機能的にも有効なアリシンへの体内変換も予想され、温度条件がマイルドなニンニクの調理加工は、ニンニクの生理機能性を有効利用できるひとつの手段であることを明らかにした。一方で、過加熱(ディープフライなど)による調理加工では、ジアリルトリスルフィド含量が大幅に上昇し、生理機能性が高くなる反面、細胞毒性濃度が極端に低くなることからサプリ利用での濃度表示など、注意喚起を表示すべきケースが起こりうるという結果が示された。 また、ショウガ中のショウガオールと還元型グルタチオンとの付加体について、化学合成と加工調理の両面で調製した。付加体は辛味刺激を減弱するだけでなく、ジンゲロールに比べて反応性が高く細胞毒性濃度の低いショウガオールの安定性・無毒化に寄与し、生体内での可逆反応による付加体から再遊離に伴いショウガオールの重要な供与体となっている可能性を示すことができた。
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Research Products
(3 results)