2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己調整学習を支援する協調フィルタリングを用いた英語学習環境の構築と評価
Project/Area Number |
21300302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 祐平 東京大学, 大学院・情報学環, 准教授 (50252565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 政寛 金沢大学, 大学教育開発支援センター, 准教授 (10466831)
松河 秀哉 大阪大学, 大学教育実践センター, 助教 (50379111)
北村 智 東京経済大学, コミュニケーション学部, 講師 (40511960)
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Keywords | 自己調整学習 / 適正処遇 / 認知的学習方略 / 社会的支援 / 「井の中の蛙」効果 / 英語学習 / 学業的自己概念 |
Research Abstract |
本研究では英語学習者が継続的なオンライン学習を促進することを目的に、自己調整学習支援機能を適正処遇、社会的支援・認知的支援の観点からオンライン英語学習環境を構築し、評価を行うものである。本年度は社会的支援・認知的支援の機能の開発と評価を行った。具体的には「井の中の蛙」効果と学習における認知学習方略機能の開発を行った。「井の中の蛙」効果とは学業的自己概念を活用した効果である。学業的自己概念は人が自分自身に抱く学業的能力の自己知識・自己像であるが、それは自身が所属するクラス等のグループメンバーの能力との社会的比較によって肯定的にも否定的にも形成されるものである。社会的比較によってもたらされる学業的自己概念の効果のことを「井の中の蛙」効果と言う。認知的支援では、線引き、引いた線の上にコメントを添付するアノテーション機能、コメントしたいマーカー部分の関連づけを行うといった認知的方略の支援機能を開発した。そのほかには「井の中の蛙」状態を作り出すために使用されるテストの機能を開発した。被験者は90名の大学生であり、TOEICのスコアを条件に公募した。具体的にはTOEIC 450点以下を30名、600点から735点までを30名、820点以上を30名集めた。点数のばらつきが本実験では重要になるため、それぞれの得点区分から10名ずつを1群とし、3つの得点区分の被験者が入るようにした。以上を評価した結果、認知的学習方略について事後の方が一部の認知学習方略の利用意識が向上するなど効果が多少見られたものの、社会的支援については「井の中の蛙」状態を作ることによる自己効力感や学業的自己概念の向上に対して有意な結果が見られなかった。
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