2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300325
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
斎藤 憲 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10221988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ネイサン シドリ 早稲田大学, 国際教養学部, 講師 (50548922)
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Keywords | ギリシャ数学 / エウクレイデス / ユークリッド / 図版 / 写本の伝承 / メネラオス / アル・ハラウィ |
Research Abstract |
(1)図版の計量的情報を記録し,再描画するツールについては,そのインターフェースの設計が作業効率に大きく影響することが判明し,インターフェースを改善した.また,図版をコンピュータ上で見る場合(webページやプレゼンテーションを含む)と,印刷する場合(白黒の場合が多い)で異なる表現が必要になるため,出力される線や文字のスタイルを容易に切り替えるためのツールを作製した.また,和算や中国の数学文献に頻出する縦書きや,斜めの文字列を記録,再描画する機能も追加した.これらの作業を優先させたため,図版の種類・特徴を記録する機能については,その仕様を確定し,試験的実装を行なうにとどまった.(2)エウクレイデス『原論』の立体幾何(11-13巻)の再描画を先におこない,アルキメデスの図版は次年度に延期した.(3)球面幾何学についてはアル・ハラウィによるメネラオスの『球面論』の図版の再描画をおこなった.(2),(3)の成果によって,立体図形や球面上の円弧が古代・中世の写本でどのように扱われていたかが容易に概観できるようになった.現代の印刷本の図版と大きく違うものも少なくなく,古代・中世における空間把握・表現の実例として重要である.また複数の写本の図版を一覧できることは,写本の伝承・依存関係の研究にきわめて有益である.(4)海外研究者の招聘を予定していたが,日程がうまく調整できず,今年度は見送った.(5)写本のマイクロフィルムは予定していたものをほぼ入手でき,順次スキャンしてデジタルデータに変換している.
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Research Products
(3 results)