2010 Fiscal Year Annual Research Report
Nanotechnology in the conservation
Project/Area Number |
21300327
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
ANDRAS MORGOS 東京芸術大学, 美術研究科, 招聘教授 (50431680)
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Keywords | ナノ材料 / 脱酸性処理 / 強化剤 / 保存 |
Research Abstract |
昨年購入した機材を用いて研究に必要な水酸化カルシウム(Ca(OH)_2)ナノ粒子の合成法を確立した。このナノ粒子の楮紙および雁皮紙の脱酸性処理への応用およびモルタル漆喰および煉瓦の強化への応用に関する実験を行った。 自製の合成水酸化カルシウムナノ粒子と一般的な消石灰を老化させた粒子をレザー光散乱による粒子経分布測定(堀場製作所)、SEM,STEMによる高分解能での観察および元素分析(物質・材料研究機構)、X線回折分析(ハンガリー科学アカデミー化学研究センター)により、物理化学的性状(大きさ、形状、結晶系)を明らかにした。水酸化カルシウム粒子のサイズ分布は二山を示す。合成ナノ粒子は不安定で、凝集しやすく、数ヶ月後にはかなり大きくなっていることが分かった。この現象には可逆的変化と非可逆的変化があり、非可逆的変化は結晶方向への付着による粗大化であり、超音波処理によっても元の小結晶粒子には戻らない。他の結晶方位以外での凝集粒子は超音波処理によって再分散する。 楮紙、雁皮紙および酸性木材化学パルプ紙を水酸化カルシウムナノ粒子で処理し、湿熱劣化(80℃、65%rh、2ヶ月)した。現在、その物性(耐折強さなど)および紙のpH変化を測定し始めた。 日本のモルタルおよび漆喰に関する文献調査を終了し、そのモデル試料の作成を開始した。 イタリア、フィレンチェのコロイドおよび界面科学センターを訪問し、水酸化カルシウムナノ粒子に関する意見交換を行った。また、韓国での文化財調査と国内での和紙製造所の調査も行った。
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