2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化触媒反応による臭素系難燃剤の分解と毒性変化に及ぼす腐植酸の影響
Project/Area Number |
21310048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福嶋 正巳 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40344113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉光 英樹 富山大学, 理工学研究部, 講師 (70397165)
長尾 誠也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (20343014)
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Keywords | 環境材料 / 環境技術 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 触媒・化学プロセス / 超分子化学 |
Research Abstract |
鉄ポルフィリン触媒による臭素系難燃剤テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)と、臭素系難燃剤が入ったプラスチック中に含まれる臭素化フェノール類(BPs)の酸化生成物に及ぼす腐植酸の影響について検討を行った。その結果、これまで研究してきた塩素化フェノール類とは異なり、TBBPAやBPsは鉄ポルフィリン触媒による酸化反応で、脱ハロゲン化が全く起こらず、主として、オリゴマーが生成する酸化重合が優先的に起こることを明かにした。特に、TBBPAの酸化反応において、腐植酸の芳香族部位と2,6-ジブロモフェノールと種々のオリゴマーが生成することを熱分解GC/MS法により明らかにした。鉄ポルフィリン触媒を腐植酸と尿素-ホルムアルデヒド縮重合反応で共有結合させて合成した超分子触媒が高活性であることを明らかにした。しかし、この触媒で活性の向上はみられたものの脱ハロゲン化は観測されず、やはり酸化重合が優先的に起こることがわかった。さらに、浸出液の処理への応用を指向し、支持担体としてイオン交換樹脂を用い、それに超分子触媒を修飾した固体触媒の合成を行った。これについて、BPに対する触媒活性は向上したが、反応基質や生成物が固体活性点に蓄積し繰り返し使用が困難であるという問題点を走査型電子顕微鏡-エネルギー分散X線分光法による表面分析から明らかにした。この結果は、反応基質や生成物との相互作用が弱い担体の選択が必要であることを示唆している。一方、TBBPAおよびBPs、そして、それらの酸化生成物として考えられるブロモキノンなどに対する毒性評価法では、共存する腐植酸のようなコロイドが測定に対して大きな影響を及ぼすことがわかった。この問題を解決するため、電気化学的変異原生評価法では対流ボルタンメトリー法の適用で阻害因子を抑制することができた。
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Research Products
(16 results)