2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見した微小点収束画像処理原理に基づく電子線トモグラフィ再構成法の確立
Project/Area Number |
21310075
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
馬場 則男 工学院大学, 情報学部, 教授 (80164896)
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Keywords | 電子線CT / 画像復元 / 逆問題 / ナノ材料 / ナノバイオ |
Research Abstract |
課題名にある、微小点収束原理と同等な原理を、全く新たに、濃度量子化単位と呼称した基本量についても見出した。これにより微小点集合より格段に画質が向上した。(ここで、濃度量子化単位とは、量子化濃度諧調を構成する画素における単位のことである。)断層画像において、各画素の濃度(明度)は、この量子化単位が1つのブロックとなってその濃度値分の数だけ積み上がった状態と考える、斬新な見方である。(例えば256諧調表現で、最大濃度なら、量子化単位が255個積み上がった状態と考える。)この見方に立ち、これまでにない全く新たな再構成演算原理を考案した。すなわち、この単位を独立に断層面内で自由に移動できるようにし、移動後に各画素のこの単位の数から新たに濃度値が決まるとした。ここで、移動に対して制約条件を課し、(1)全方位の投影データと最小誤差の規範のもとで満足すること、(2)等濃度ごとの断面領域は連続領域を成すこと、とし、これらの条件に従う演算法を工夫した。その結果、見事に量子化単位は情報欠落の影響を受けずに、ほぼ正しい断層像を再構成するための各々の断層位置に収束した。ただ、現在のところ、完成した演算アルゴリズムは量子化諧調数が少ない場合のみであるため、組成数の少ない複合ナノ材料などの応用に限られたが、それらの応用において、ほぼ情報欠落問題は解消した。(実験に用いた投影データは、試料傾斜角度範囲が±72。であったが、従来法のFBP逆投影やSIR反復演算では情報欠落による偽像が界面の断層像を大きく乱し、比較の結果、本手法の効果・優位性が明らかであった。)
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