Research Abstract |
昨年度までに得られたメダカの小分子RNAを分類し、筋肉,腸,眼,脳,心臓,卵巣,精巣7組織で合計10,173,886リードをマッピングした。卵巣,精巣の25-31ntのデータについては卵巣,精巣のリード数が他組織のリード数を大きく上回っていた。この傾向はトラフグでも同様であった。これらの結果からメダカ生殖細胞でもショウジョウバエやマウス同様、piRNAの発現が示唆された。 分布の特徴としては,25-31ntのデータセットでは特に卵巣で広範囲に小さなピークがみられた。一方、体細胞では特定の場所に集中してマッピングされる傾向が強く,その多くはtRNAのコード領域であった。卵巣,精巣においては塩基長ごとに分割したデータセットを作成したが,数多く見られた配列の分布をみてみると,各塩基長でみられるものと特定の塩基長でみられるものの2種類が確認できた。また反復配列が数多く転写されていることが示唆された。k-mer解析によって,18-31ntの配列の反復回数を参照した。またこれまでの他生物の研究でp1RNAはゲノム上の一方の鎖上にクラスター上にマップされること,ある場所を境目にして逆鎖から転写されることが報告されているが,メダカにおいても同様の傾向がみられた。 各染色体で数多くマップされた配列をBLAST検索した結果,既知の小分子RNAやtRNA,rRNAにヒットしなかったものが,体細胞では5種,卵巣では塩基長26ntで23種,30ntで38種を筆頭にのべ153種,精巣では塩基長28ntの36種を筆頭にのべ127種が見出された。また7種のtRNA断片が組織非特異的に著しく多くみられた。これらの新規小分子RNAが実際に細胞内でどのような働きをしているかは不明であり,今後これらについてその生理学的機能を詳細に検討していく必要がある。
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