2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20183767)
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Keywords | 出芽酵母 / 機能ゲノム / 細胞周期 / 細胞形態 / 画像解析 |
Research Abstract |
パン酵母やワイン酵母、ビール酵母、一部の病原性Saccharomyces酵母等は近縁でありながら、生育温度や発酵特性、病原性等においてそれぞれ固有の特徴を持つ。このような違いが細胞内機能のどのような差によって生じてくるかについては、分子育種、種分化研究、感染病予防等の観点から興味深い。申請者らは、ゲノム配列が解明されている酵母二株(実験株酵母とワイン醸造酵母)と、それらをかけ合わせた子孫の各株の形態情報を取得し、親株の形質の差の多くが遺伝子に由来すること、複数の遺伝子座が量的形質に影響を及ぼしていること、形態情報が遺伝子発現量とも密接な関係があることなどを明らかにし、出芽酵母の細胞形態が比較ゲノム解析のよいモデル系となることを示してきた。本研究では、この研究をさらに発展させ、地理的にも生育環境上も隔離された環境下で単離されたSaccharomyces cerevisiae 36株を用いて表現型プロファイリングを行い、細胞内機能のどのような違いによってこのような近縁酵母同士の違いが生じるのかについて研究を行った。またこれらの36株は共同研究者のSchacherer(CNRS,France)らにより精密なDNA多型マッピングが行われているため、表現型プロファイリングとDNA多型の比較が可能であるため、アソシエーションマッピングを行なった。その結果、表現型は3つのグループに分かれることが明らかになり、特にワイン酵母において、表現型の類似性は遺伝的な近縁性に起因することを統計的に確かめることができた。今後この研究は、集団構造の解析と合わせて自然酵母を使った遺伝的多様性の解析につながることが期待される。
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