2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20183767)
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Keywords | 出芽酵母 / 機能ゲノム / 薬剤標的 / 細胞形態 / 画像解析 |
Research Abstract |
我々は以前出芽酵母の非必須遺伝子破壊株の表現型データベースの中から類似した表現型パターンを持つ変異株を探索するための統計的技法を開発していた(Ohnuki et al., 2010)。これを応用して薬剤処理した酵母細胞の501次元形態データを取得後、それを非必須遺伝子破壊株の表現型データと比較することにより、薬剤の細胞内標的に関する知見を得ることができるようになった。しかしながらこの方法は、細胞内に標的がたったひとつ存在する場合にのみ適応でき、標的が2つ以上存在する場合には適応できなかった。そこで今年度は、標的が2つ以上存在する場合にも薬剤応答に関する知見を得ることができる統計的技法を開発した。具体的には、二回の連続した主成分分析を行なう。初めの主成分分析では何段階かの薬剤濃度で処理した細胞の形態変化データを用いる。これにより、濃度依存的に変化するパラメータが抽出できる。次に二回目の主成分分析では、一段階目で抽出したパラメータに関して帰無分布するデータを用いて主成分分析する。これにより、その中の独立な成分が抽出できる。一段階目で時間変化を追跡したデータを用いれば、時間依存的に変化する独立な成分が抽出できる。この二回連続した主成分分析を使った解析によって、実際にはJBIR19という標的未知の薬剤の細胞応答に関する知見を得た。501次元の形態表現型は疎構造を持っており、今まで次元圧縮する方法が強く求められていた。この方法により、研究者が関心を持つ重要な観点からの解析が可能になり、薬剤の「濃度依存的変化」の高次元データからは副作用を持つ薬剤の特性が、増殖時の「時間依存的変化」の高次元データからは増殖制御プログラムの特性が明らかになった。
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