2011 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイドの高機能化に関わるプレニル化酵素遺伝子ファミリーの機能解剖と酵素工学
Project/Area Number |
21310141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Keywords | プレニル化酵素 / ポリフェノール / 二次代謝 / 生合成 / プラスチド |
Research Abstract |
植物由来の膜結合性プレニル化酵素ファミリーの全体像をつかむため、トウダイグサ科のオオバギ、並びに朝かのホップからプレニル機転移酵素の候補遺伝子をクローニングし、前者は出芽公募にて活性を検定し、その性質を調べた。後者のホップの酵素については、バキュロウイルスの系を用いて昆虫培養細胞にて初めて酵素活性を検出することができた。特に、ホップのリコンビナント酵素について詳細に調べたところ、この酵素は本ファミリーのメンバーにしては珍しく基質特異性が広く、フロログルシノール誘導体のみならず、フラボノイドのナリンゲニンカルコンも基質にして、そのA環の水酸基の隣の炭素にジメチルアリル基を導入できること、また二価カチオンに関しては、Mgに対する狭い要求性を示した。 既知の膜結合型プレニル機転移酵素の分子系統樹を描いたところ、このホップのプレニル化酵素HIPT-1は、ほかのフラボノイド特異的な分子首都は明らかに異なるクレードに分類された。これがHIPT-1の特徴的な基質特異性によるものか、あるいは植物の系統分類上の距離を反映しているのかは、今後の解析を待たねばならないが、今回の実績により、初めてマメ科以外の植物種から二次代謝系のポリフェノールプレニル化に関わる酵素遺伝子が同定できたことは意義深い。なお、HIPT-1はホップの苦み成分である、フムロン、ルプロンの生合成に関わる分子種として、数十年来探索されてきた遺伝子で、産業上の意味も大きい。 本ファミリーに属する酵素の分子解剖の点からは、フラバノン特異的なSfN8DT-1とイソフラボン特異的なSfG6DTがいずれもクララ(Sophora flavescens)から得られており、そのキメラを作ることで、基質特性を決定している部分を約30アミノ酸の領域まで絞り込むことができた。 代謝工学による生産系の構築に関しても、徹底的な代謝デザインの検討により、プラスチド局在の必要性やホスト依存的な酵素機能の改変など新たな知見を得ることができた。
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