2011 Fiscal Year Annual Research Report
試験放鳥したトキの行動追跡に基づく生息適地評価と自然再生計画の検証手続き
Project/Area Number |
21310149
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関島 恒夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10300964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河口 洋一 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20391617)
宮下 直 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (50182019)
三谷 泰浩 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20301343)
永田 尚志 新潟大学, 研究推進機構超域学術院, 准教授 (00202226)
村上 拓彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20332843)
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Keywords | トキ / 営巣適地モデル / 採餌適地モデル / ヤマアカガエル / ドジョウ / 環境選択性 / 個体群存続可能分析 / 再導入 |
Research Abstract |
中国のトキ営巣情報と佐渡島への放鳥トキの採餌情報を用い、衛星リモートセンシングを活用した土地被覆情報から営巣適地モデルと採餌適地モデルを構築し、このモデルを佐渡全域に外挿することで、営巣および採餌に適したエリアを評価した。その結果、佐渡全域の営巣適地推定においては、国仲平野と大佐渡・小佐渡地域の境界線、加茂湖周辺、および小佐渡南西部が営巣に適したエリアであり、採餌適地においても季節的に適地が変化するものの、概ね営巣適地と重複した環境を選好していることが分かった。 次に、餌生物のドジョウとカエル類について、その環境選択性を解析した。カエル類については、環境保全型農業のうち、冬期湛水および「江」の設置が水田で繁殖する両生類3種の個体数や出現確率に与える影響を探った。その結果、ヤマアカガエルとツチガエルの一種において、冬期湛水もしくは江の設置が強い正の影響を与えることが明らかになった。また、ヤマアカガエルとクロサンショウウオで水田周辺に適度な森林率が必要であるが、その空間スケールは大きく異なることが明らかになった。ドジョウについては、GIS上で調査地周辺の景観要因を収集し、野外調査の結果とあわせてトキの主要な餌であるドジョウのポテンシャルマップを作成した。その結果、ドジョウ生息量が大きいと推定された水路網は2ヶ所あり、それらは川と排水路の間で魚類の移動が可能な水路網であることが明らかとなった。 放鳥後1年間のトキの生残率は平均61%であり,2年目以降の年生残率は79%と中国野生個体群より高いが、個体群存続可能性分析の結果、飼育個体群の繁殖パラメータでは放鳥個体群の存続は困難であり、再導入の成功には中国野生個体群と同等の繁殖成功率が必要なことが明らかになった。また、放鳥後のGPS装着個体の移動パターンの解析より、放鳥方法と性の両方が定着分散に大きな影響を与えることが明らかになった。
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Research Products
(13 results)