2011 Fiscal Year Annual Research Report
希少野生動物のDNA Zooと遺伝子解析による行動予測システムの構築
Project/Area Number |
21310150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60293552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊谷 原一 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (70396224)
幸島 司郎 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60183802)
田中 正之 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80280775)
杉浦 秀樹 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80314243)
森村 成樹 京都大学, 野生動物研究センター, 助教 (90396226)
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Keywords | 遺伝資源保全 / 野生動物 / 血縁解析 / 遺伝子多様性 / 行動解析 |
Research Abstract |
レッドリストに掲載された野生動物はおよそ45,000種にものぼり、緊急の対応が求められている。動物園など飼育施設においても、野生動物の新規導入は困難であり、小数集団での繁殖、遺伝的多様性の保全、動物福祉の実現は、深刻な課題となっている。本課題では動物園や国内の野外ステーションとの連携を活用して、非侵襲的なDNA採取法の開発に取り組むとともに、血縁や亜種判定の基礎となる多様性データを集積し、多数種、多数試料からなる詳細情報つきのDNA Zooを整備する。また性格評定、行動観察、認知などのデータと、ストレスや行動との関連が予想される遺伝子との比較により、ゲノム情報による野生動物の行動や繁殖の予測システムを構築する。 23年度は、(1)DNAバンクの整備を目指して、新たにDNAを抽出した。(2)これらの試料の個体情報をさらに充実させるため、また飼育園館や飼い主の協力を得て性格評定を行った。さらに(3)DNAバンクの遺伝子多型解析を行い、集団の多様性解析や、性格との関連解析を行った。(1)については、動物園や水族館で引き続き試料採取を行い、また国内の保全研究を行っている施設の協力を得て、飼育レッサーパンダ、希少在来家畜の対州馬、野生のイヌワシをはじめとする試料を得た。また海外ではガーナやガボンにおいてモナモンキーやゴリラから、糞などの非侵襲的に得られた試料を用いてDNAを抽出した。これまでに蓄積したDNA試料に、本年度は新たに1,182試料を追加し、総計22,673個体のDNAを得た。(2)これらの試料のうち、レッサーパンダ138個体の性格評定を行った。またリスザルおよびテナガザルの判定に着手した。イヌやゾウで、アンケートによらない行動観察による評定法の検討を行った。(3)については、昨年度に引き続き、イヌワシ、ニホンザル、野生ネコで、マイクロサテライト領域による血縁判定を行い、ネコで血縁と社会行動の関連性を解析した。また、チンパンジーの不安の感じやすさとセロトニン合成に関与するTPH2の遺伝子型に関連を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内のみならず海外からも、多様な動物種の多数の試料が集まり、血縁関係や性格関連の情報が充実したデータベースが蓄積されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに試料数を増やし、培養細胞での保存も視野に入れた、ゲノム細胞バンクへと発展させることで、さらにデータベースの価値を高め、多様な研究への活用度を上げたいと考えている。また、試料採取と研究成果の応用というスタートとゴールに携わる、動物園や水族館の飼育スタッフの理解と援助は、この研究には欠かすことができない。研究開始以来、共同研究に参加する飼育施設は大きく増加しているが、さらに協力関係を推進するように研究連絡会等の機械を増やしたい。本研究費は24年度で終了するため、25年度以降も上記の研究活動のための研究費を継続的に確保していくことが、必須である。
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Research Products
(99 results)
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[Presentation] Study of genetic diversity for wildlife conservation2011
Author(s)
Miho Inoue-Murayama, Christopher Adenyo, Azusa Hayano, Princess K.Botchway, Millicent Amekugbe, Erasmus H.Owusu, Boniface B.Kayang
Organizer
Special Seminar : Conservation and Sustainable Use of Ghanaian Wildlife : Report of Research in Japan and Future Plan
Place of Presentation
Accra, Ghana
Year and Date
2011-10-06
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[Presentation] 飼育下ニシゴリラの夜間採食行動2011
Author(s)
宝田一輝, 長尾充徳, 釜鳴宏枝, 山本裕己, 田中正之
Organizer
Animal 2011:日本動物心理学会(第71回)・日本動物行動学会(第30回)・応用動物行動学会/日本家畜管理学会(2011年度)合同大会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2011-09-10
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[Presentation] マハレのチンパンジーの遊動域-16年間のデータから2011
Author(s)
中村美知夫, ナディア・コープ, 藤本麻里子, 藤田志歩, 花村俊吉, 早木仁成, 保坂和彦, マイケル・A・ハフマン, 稲葉あぐみ, 井上英治, 伊藤詞子, 川中健二, 沓掛展之, 清野(布施)未恵子, 郡山尚紀, リンダ・F・マーシャント, 松本晶子, 松阪崇久, ウィリアム・C・マックグルー, ジョン・C・ミタニ, 西江仁徳, 乗越皓司, 坂巻哲也, 島田将喜, リンダ・A・ターナー, 上原重男, ジェームズ・V・ワキバラ, 座馬耕一郎, 西田利貞
Organizer
第27回日本霊長類学会大会犬山国際観光センターフロイデ
Place of Presentation
犬山
Year and Date
2011-07-17
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