2010 Fiscal Year Annual Research Report
移民外国人の社会統合問題をめぐる地域間比較研究:「内包」と「排除」の議論を越えて
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21310162
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河原 祐馬 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (50234109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 聖美 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40127569)
佐野 寛 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40135281)
近藤 潤三 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80111863)
玉田 芳史 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90197567)
島田 幸典 京都大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (50324596)
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Keywords | 社会統合 / 多文化共生 / ナショナル・アイデンティティ / 循環移民 / 政治的成員資格 / シティズンシップ / 国際労働移動 / エスニック・マイノリティ |
Research Abstract |
1.本研究の研究実施計画は、大きく分けて、(1)政治的成員資格、アイデンティティおよび循環移民に関わる問題を中心とした移民外国人の社会統合問題についての理論・先行研究の整理・考察、(2)研究対象地域における移民外国人の政治的成員資格に関わる施策、ナショナル・アイデンティティの議論を踏まえた「他者」としての移民および循環移民それぞれに関わる問題の実態についての調査と分析、(3)これら調査の調査データの分析に基づく研究対象地域における移民外国人の政治的成員資格、ナショナル・アイデンティティおよび循環移民それぞれに関わる問題の現状と課題についての比較的観点を交えた実証研究という踏まえるべき3つの主たる課題から構成されている。平成22年度については、前年度の理論・先行研究に関わる研究成果を踏まえて、上記(2)の研究段階の遂行に重点を置きつつ、主として、研究対象地域における移民外国人の社会統合問題についての調査分析を行い、構成メンバーを中心とした研究会等での意見交換といった知的作業を通じて、本研究課題において考慮すべき問題点を把握し、その解決のための問題意識の共有に向けての全体的な調整に努めた。こうした知的作業の中間的成果として、平成22年度日本比較政治学会での「移民問題の政治化」に関わるセッションの企画と遂行およびそこでの研究成果を踏まえた『移民と政治』(昭和堂)の刊行が挙げられる。 2.研究代表者および分担者の各々が担当地域における様々な特殊事情を考慮に入れつつ、移民外国人の統合問題についての調査分析・考察を行うた。研究代表者の河原は、学会等でのセッションの企画および研究成果の公表に努め、併せて、エストニアなどバルト諸国をはじめとする旧ソ連地域の事例研究を進めた。研究分担者の谷はアメリカのそれをはじめとする北米地域の事例研究に、佐野は日本における外国人の法的地位問題についての研究に、近藤はドイツの事例研究に、玉田はタイの事例研究に、島田はイギリスの事例研究に、小柏はニュージーランドの循環移民に関わる事例研究に、麻野は多文化共生施策を中心とした日本の事例研究に、永井は日本と東南アジア諸国との国際労働移民問題についての研究に、木村は韓国の事例研究に、横山はインドネシアの事例研究に、中谷はフランスの事例研究にそれぞれ従事した。 3.以上のような本研究が取り組むべき研究課題についての「ブレーンストーミング」および研究調査・分析等についての中間的な成果報告を目的とした研究会を2010年6月(筑紫女学園大学)に開催し、同研究会において、研究代表者および分担者それぞれが踏まえるべき研究上の新たな課題もしくは観点の確認を行い、それを踏まえる形で日本比較政治学会でのセッションを企画・遂行した。また、2011年1月(京都大学)には、研究代表者および各地域を統括する研究分担者との間で、本研究課題の最終年度である平成23年度における研究活動の基本的な方向性について検討するための意見交換の場を設け、学会等での積極的な研究成果の公表および本研究課題の報告書の刊行に関わる具体的な企画についての確認を行った。
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Research Products
(5 results)