2009 Fiscal Year Annual Research Report
トラウマとジェンダーの相互作用:精神病理・逸脱・創造性
Project/Area Number |
21310167
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
宮地 尚子 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (60261054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 弘子 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (70234995)
坂上 香 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60368066)
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Keywords | トラウマ / ジェンダー / 性暴力 / PTSD / 逸脱 / 依存症 / DV / 虐待 |
Research Abstract |
トラウマとジェンダーの相互作用を1)精神病理的側面から、2)犯罪行為や逸脱現象の側面から、3)当事者の自助グループやメディア発信・アート表象など文化創造的な側面から明らかにすることを目的に、年間テーマを「発達とトラウマとジェンダー:解離と愛着の最新理論から」として以下の研究活動を行った。 1)では長期のトラウマを受けてきた臨床事例について、発達過程での愛着の問題と解離症状、自己感情調整の関連を連携研究者の静岡大学・田辺肇氏とともに分析した。一橋大学客員教授ロナルド・スターデ氏の講演「マンメイド:性暴力と暴力的な性」を主宰、討論を行った。連携研究者である京都女子大学・大矢大氏の主宰で、性暴力についての公開シンポジウムを行った。2)では薬物依存女性のトラウマ被害の影響を分析し、違法な自己破壊的行為へ至る道筋、再演としての親密圏の暴力、スティグマ化がもたらす悪循環等、トラウマやジェンダーの潜在化された相互作用を分析した。坂上を中心に「被害者も加害者も変われる社会へ」という裁判員制度のパネルディスカッションを行った。3)では、薬物依存女性の自助グループ・ダルク女性ハウスとの共同プロジェクトとして、「詩のワークショップ:もう一つの声」や体験アート展「握れないけど触れたとき」を、またUCLA教授スーザン・メーソン氏によるジェンダー的トラウマを受けた人のための演劇アートワークショップ「コミュニティの創成」を行い、トラウマが自己回復や創造性に向かう流れを実践・分析した。 ・英国キングストン大学のアートと社会を繋ぐプロジェクトを視察、スイスでは男性性被害の専門家バーナー・チャン氏との臨床事例研究、ドイツではトラウマを追うアーティスト、イシャイ・ガルベスとの共同研究を行った。
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Research Products
(13 results)