2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本の宗教とジェンダーの研究-近世社会における尼僧と尼寺の役割-
Project/Area Number |
21310172
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
岡 佳子 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (50278769)
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Keywords | 尼寺 / 比丘尼御所 / ジェンダー / 女性 / 仏教 / 触留 / 御所人形 / 霊鑑寺 |
Research Abstract |
本研究は、日本の宗教とジェンダーを考えるうえで重要な尼門跡文書の分析を通じて近世社会における尼僧と尼寺の役割を明らかにすることを目的とする。この目的を遂行するために、本年度は9回の尼寺文書研究会(4月24日・5月22日・6月26日・7月24日・8月21日・10月24日・11月7日・12月12日・1月15日)を実施した。加えて、霊鑑寺工芸品調査2回(9月11日~13日、2月23日~25日)を実施した。 研究会においては、公儀から京都・奈良の比丘尼御所に下した触を書き留めた慈受院蔵「総持院触留帳」、享保2年から同12年に至る10冊を講読して翻刻を行った。公儀から京都の町に下された町触は翻刻され『京都町触集成』として刊行されているが、比丘尼御所に宛てた触については殆ど紹介されておらず、江戸幕府の比丘尼御所、あるいは門跡・公家方支配の実態までが明確になり、翻刻は近世寺院史研究に意義をもつ。さらに11月7日の研究会では「「西大寺流」尼寺の活動」小椋百合子(京都府立大学大学院博士前期課程)12月12日では「仏教は女性を差別しなかったか-工藤美和子氏「平安期における女性と仏教について」を読んで-」西口順子(相愛大学名誉教授)1月15日では「室町・戦国期王家葬礼仏事を考える-般舟三昧院の成立・展開と西山派寺院-」高橋大樹(佛教大学大学院博士後期課程)の3回の女性と仏教に関する研究報告を行った。 霊鑑寺の工芸品調査では、江戸中期~明治に至る御所人形・雛人形約50点、打敷・法衣・夜義など染織品約50点の調査を終了した。本調査により比丘尼御所における工芸品の需要の実態が明確となるとともに、江戸時代の人形・染織品の編年などにも行うことができた。講読も調査も何れも、近世の比丘尼御所研究の基礎資料を蓄積する上で貴重なものである。
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Research Products
(3 results)