2011 Fiscal Year Annual Research Report
<教養>の比較思想史的研究-市民型リベラル・アーツをめざして
Project/Area Number |
21320023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関口 正司 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60163101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 靖久 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (00170986)
鏑木 政彦 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (80336057)
木村 俊道 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80305408)
井柳 美紀 静岡大学, 人文学部, 准教授 (50420055)
竹島 博之 東洋大学, 法学部, 准教授 (90346734)
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Keywords | 思想史 / 政治思想史 / リベラル・アーツ / 教養 |
Research Abstract |
研究代表者および研究分担者は、昨年度に引き続き、下記の観点から研究対象を絞り込み、次年度(最終年度)における研究成果報告書に掲載する論文執筆に向けて作業を進めた。 (1)現代社会においてデモクラシーの基盤となる市民を育成する<教養>思想の遺産は何か (2)単なる知的教養ではなく、作法や礼儀など身体的な「型」にまで及ぶ<教養>思想の遺産は何か(3)家庭や地域共同社会の再生に不可欠な社会資本としての<教養>思想の遺産は何か 丸山眞男を取り上げた清水論文、「生の哲学」の現代的意義を探る鏑木の研究発表は、(1)を中心としたものである。現代の愛国主義教育を論じた竹島論文、国家と正義、ナショナリズムのあり方に関する竹島の共著・翻訳書も、歴史をふまえたものであり、(1)に関連する実績である。関口・竹島によるシティズンシップ教育論の翻訳は、(1)への関心を前提とした今後の教養や教育のあり方に関する探究過程での副産物であるとともに、それ自体として、日本の大学の政治学教育や、中等教育における公民教育のあり方に示唆を与える意義を有している。西欧における「シヴィリティ」を取り上げた木村の2回にわたる研究発表は、(1)を意識しつつ(2)について正面から取り組んでいる。 研究代表者と研究分担者は、平成23年12月に九州大学で研究会を実施し、上述の作業もふまえながら、次年度半ばをめどに執筆する報告書論文について、構想発表を行なった。各メンバーは、これまでの研究経過とそれぞれの専攻分野の知見を活かして、イギリスにおけるシティズンシップ教育、近代ドイツにおける市民教養思想、ヨーロッパ初期近代におけるリーダー教養、第二次大戦後の日本における教育基本法制定をめぐる思想状況、フランス啓蒙と市民型教養などに関して、それぞれテーマを絞り込み、最終年度の研究計画を交互に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示したように、前年度までの作業を前提に、今年度はそれぞれの研究対象の一層の具体化・絞り込みが進展し、次年度(最終年度)における研究成果のとりまとめを具体的に展望できるようになった。これは、当初からの本年度の目標であり、計画通り着実・順調に進展していると自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
問題点は特にない。順調に進んでいるので、来年度は当初からの計画に沿って、今年度において絞り込まれたそれぞれのテーマを着実に前進させて成果となる論文執筆を促進するために、例年よりも研究会を前倒しで実施することを計画している。
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Research Products
(9 results)