2012 Fiscal Year Annual Research Report
<教養>の比較思想史的研究―市民型リベラル・アーツをめざして
Project/Area Number |
21320023
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関口 正司 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60163101)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 靖久 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (00170986)
井柳 美紀 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (50420055)
木村 俊道 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80305408)
鏑木 政彦 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80336057)
竹島 博之 東洋大学, 法学部, 准教授 (90346734)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 思想史 / 政治思想史 / リベラル・アーツ / 教養 |
Research Abstract |
研究代表者及び研究分担者は、下記の観点から共同の研究を進め、一定の成果を挙げることができた。①現代社会においてデモクラシーの基盤となる市民を育成する<教養>思想の遺産は何か。②単なる知的教養ではなく、作法や礼儀など身体的な「型」にまで及ぶ<教養>思想の遺産は何か。③家庭や地域共同社会の再生に不可欠な社会資本としての<教養>思想の遺産は何か。 ①に関連する業績としては、1989年の丸山真男の談話の経緯を解明した清水論文が、戦後日本の教養思想の遺産たる丸山像の解明に向けて着実な前進を示した。ドイツにおける教養思想を丹念にフォローする竹島論文は、教養に不可欠なる要素として権力闘争と対話という二つの契機を引き出し、具体的状況における政治的判断力をいかに養うかが教養の最重要課題であるとした。それに関して、関口論文は一般的決定と個別的決定を区別する統治の論理を剔抉し、統治に関わる教養の型を提示している。高校生向けに書かれた鏑木の論考は、自由を考えることによる市民育成の具体的な実践を行なっている。 ②に関連する業績として、木村の学会発表「初期近代イングランドにおける会話・交際・社交」はconversationの概念を中心に宮廷の人文主義の系譜の解明を進め、作用や礼儀に関わる「型」の系譜を明らかにしている。また前述の①に関わる研究は、みな何らかの形で普遍を個別に適用するための型という問題性にふれており、②の課題に関する業績でもある。 ③に関連する業績としては、東日本大震災を受けて急遽取り組んだ鏑木の論考がある。関東大震災を経験した思想家や知識人の言論の中に、災害を生き抜くための市民的教養の遺産を追究し、社会資本を養う教養の重要性を指摘している。 以上、最終年度となる平成24年度は、教養をめぐる最もクリティカルな論点に分析を進め、思想史と政治哲学の二つの方面から多様な成果を得るにいたった。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(10 results)