2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける仏教と神信仰との融合から見た日本古代中世の神仏習合に関する研究
Project/Area Number |
21320024
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
吉田 一彦 Nagoya City University, 大学院・人間文化研究科, 教授 (40230726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上島 享 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60285244)
脊古 真哉 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 研究員 (20448707)
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Keywords | 神仏習合 / 仏教史 / 文化交流 / 本地垂迹 / 山王 / 地主神 / 神像 / 伽藍神 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、論文としては「最澄の神仏習合と中国仏教」がその中心となる。この論文では、比叡山寺(後の延暦寺)が古代から中世にかけて、日吉社と習合しつつ成長、発展していったことについて、最澄の最初の構想の中にすでにそうした習合的な展開の姿が構想されていたことを論じた。具体的には、最澄は、入唐によって、聖なる山であった、中国の天台山における神仏並立、融合の姿を実見、吸収し、中国の宗教的聖地のあり方を直接模倣して、それを日本に展開しようと企図していった。この論文では、比叡山寺成立の最大の特質、歴史的意義はこの点にあることを、中国天台山のあり方と比較しながら詳論した。 海外調査としては、韓国の古代寺院址、中国山西省の寺院の調査を実施した。韓国の王興守址、定林寺、四天王寺址では、発掘調査現場を踏査することができ、多くの知見を得た。また、山神など寺院内の神のまつり方についても知見を得た。中国山西省では、唐代、五代、遼代、宋代、金代などの寺院建築、仏像、壁画などの仏教文物を見学し、あわせて寺院内の伽藍神や面然大士の祭られ方についても詳しく調査することができた。さらに、祠廟、道観を見学し、日本の神仏のまつられ方と比較考察することができた。 研究会は4回実施したが、中国の神信仰、民俗信仰を專攻している二階堂善弘氏(関西大学)をお招きし、直接意見交換することができたのは大きな収穫であった。 また、連携研究者の佐藤文子が、浙江工商大学で開催された国際シンポジウム「東アジア文化交流」に招聘され、研究発表「仏教制度の輸入と日本化」を報告した。中国の研究者と交流し、日中の神仏習合の諸問題について意見交換をすることができた。
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Research Products
(8 results)