2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320035
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
豊福 誠 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 美術学部, 教授 (30227665)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 博 東京芸術大学, 美術学部, 准教授 (20345341)
|
Keywords | ラピス・ラズリ / 高純度青色顔料 |
Research Abstract |
〇ラピス・ラズリから高純度青色顔料を抽出するための準備段階としての、原石の選別と粉砕 ラピス・ラズリ原石(60kg)を手作業で約0.5cm^2のサイコロ状に砕き、色相、品質の厳格な選別をおこなった。色相は、濃青、貴青、黄青澄の3種に選別。それぞれの色相において、特上、上、並の4段階の品質に選別した。60kgの原石から、特上は濃青11kg、貴青12kg、黄青澄11kgを得られ、3種の上品質を統合したものが21kgになった。それぞれの原石を200番の節を通る細かさに粉砕し、焼き付けの際に褐色化を引き起こす要因となる黄鉄鉱を除去した。 〇高純度青色顔料抽出 高純度青色顔料抽出をおこなうにあたり、イタリア13世紀のチェンニーニ抽出法を採用した。この抽出法は、現在においても天然ウルトラマリンを得るための最も有効な方法として知られており、ヨーロッパ絵画に使用された天然ウルトラマリンのほとんどがこの方法によるものか、もしくはこれを基にしたものである。精製にあたっては、マスティック樹脂、蜜蝋、松脂を1対1対2の割合で調合し、混合樹脂と同量のラピス・ラズリ原石粉で1つ300gの団子状の捏ねものを作る。このラピス樹脂団子を約45度に温めたアルカリの灰汁(PH9~11)の中で揉みだす。揉みだし作業を各団子3時間おこない、灰汁に沈殿した顔料を洗浄し乾燥することで高純度青色顔料を得ることができる。この工程を4回おこなうことで、1番絞りから4番絞りの青色顔料を抽出する。濃青特上11kgの原石粉から73個のラピス樹脂団子をつくり、3時間ごとに分けた4番絞りをおこなうためには、揉みだし作業総時間数が876時間になる。現在この抽出作業を継続的におこなっており、この抽出によって得られる高純度青色顔料は、原石粉総量の約15%であり、1500g前後の天然ウルトラマリン顔料の抽出が見込まれる。
|