2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320074
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
稗田 乃 東京外国語大学, アジアアフリカ言語文化研究所, 教授 (90181057)
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Keywords | ナイル諸語 / 形態統語論 / 共時研究 / 通時研究 |
Research Abstract |
研究代表者(稗田)は、ナイル諸語西ナイル方言に属するアチョリ語とクマム語の形態統語論について現地調査をおこなった。クマム語の調査の成果は、Kumam Vocabulary with Grammatical Notes(Studies in Nilotic Linguistics vol.4)として出版した。これは、名詞には声調クラスを、動詞には形態統語論的情報を記載したクマム語の語彙集である。また、この語彙集には英文80頁をこえるクマム語形態論の記述が付記されている。これは、クマム語の世界初の語彙集の出版である。また、クマム語形態統語論の調査研究の成果は、国内、国外の学会、シンポジウムで発表した。アチョリ語統語論の調査の成果の一部は、国際シンポジウムで発表した。研究代表者による研究で得られた新たな発見のひとつは、クマム語とアチョリ語に、アフリカの言語には存在することが知られていなかったEvidential strategyが存在することである。研究代表者は、クマム語とアチョリ語の補文構造が話し手の情報源の性格と関係していることを明らかにした。研究協力者(河内)は、ナイル語南方言に所属するサビニ語の形態統語論の調査をおこなった。その成果は、国際シンポジウムで発表した。今年度は、本申請の研究課題の最終年度である。本申請による研究課題の目的は、単に現地調査をおこなうだけではなく、アジアアフリカ研究所にナイル諸語研究のための国際研究ネットワークの構築と研究資源を共有するためのプラットホームを形成することでもある。その成果として本申請により構築した国際ネットワークに参加した研究者をあつめて日本で国際シンポジウムを開催した。国際シンポジウムの成果は、Studies in Nilotic Linguistics vol.5として出版した。
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