2009 Fiscal Year Annual Research Report
焦点・スコープ現象の統語・意味論的分析と音声実験・コーパス調査による検証
Project/Area Number |
21320084
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Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
西垣内 泰介 Kobe Shoin Women's University, 文学部, 教授 (40164545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡司 隆男 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (10158892)
松田 謙次郎 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (40263636)
松井 理直 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 教授 (00273714)
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Keywords | 焦点 / スコープ / 文法 / 意味 / イントネーション / 削除現象 / デジタル分析 / コーパス |
Research Abstract |
本研究は、「焦点」とスコープに関わる言語現象を取り上げ,形式化の整った統語論・意味論・音韻論の方法で理論的に分析するとともに,音声実験や言語コーパス調査などによって理論的考察を実証することを目的とする。 本年は ●先行研究で行われたイントネーションのデジタル分析について追実験を行い、更にバリエーションを加えて既存のデータに関して詳細な検討を行った。 ●WHの島の制約に関与する例文について考察し、東京方言、関西方言とさらに佐賀方言の間で興味深い差異が存在することに着目し、さまざまなデータをデジタル分析して理論的な分析の方向性を議論した。 ●上記方言差を説明するメカニズムとしてIshihara(2004)の分析に従ってWH要素は派生過程の中で焦点素性を与えられ、この素性の認可がWH素性の認可の必要条件となる分析を議論した。WH要素は焦点素性によって(i)焦点の高ピッチを与えられ、(ii)その後(右側で)スコープを決定する主要部までピッチ抑制が起こる。これによると、東京方言と関西方言では素性認可の優先性が異なり、佐賀方言では焦点素性の認可が必要ではない、従って(i)(ii)の現象が起こらないという仮説になる。 ●上記の分析のメカニズムによっていくつかの省略現象をも考察した。これによるとスルーシングとWH疑問文への答えは上記のピッチ抑制と平行した移動を伴わない削除であり、「はぎとり」現象はPFへの入力形成以前に焦点投射への移動が起こり、PFで削除が起こるという対比によって関連する現象が説明される。
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Research Products
(4 results)