2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320146
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山田 昌久 Tokyo Metropolitan University, 大学院・人文科学研究科, 教授 (70210482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 拓也 首都大学東京, 大学院・人文科学研究科, 助教 (30514608)
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Keywords | 実験考古学 / 土木技術 / 伐採技術 / 集落森林(里山) / 丸木弓 / 石斧 / 刈り払い具 / 環境交渉力 |
Research Abstract |
以下の4項目の実験と分析を、7・8月に学外で、随時学内の実験考古学ヤードで行なった。 (1) 縄文時代石斧の伐採実験⇒縦斧と横斧による伐採効果と制動作業を記録した。7月と8月に実施した実験により、横斧の制動が縦斧に比較して作業が限定されて、有効打撃確度が狭く、太い木の伐採に向いていないことがわかった。しかし密林の中では縦斧の制動が困難で横斧の方が制動しやすいことが分かった。効率の点では、20cm程度までの木では、横斧の方が20%ほど多い打撃回数を要した。 (2) 丸木弓の射出実験⇒弓幹形状・樋の有無による方向限定にかかる精度比較と、鏃の形状差による貫通状況の差に関する実験を行った。弓幹の形状は、射出方向を安定させる目的で捻じれや屈曲の無いように仕上げられており、それが縄文時代前期の弓形状には既にその工夫が認められるから、鏃を紡錘形に製作する旧石器・縄文移行期が、弓幹の改変時期でもあったと考えられる。 (3) 掘削具による土工実験⇒石鍬を鋤状と鍬状の2つの形に固定して実験を行った。7月と8月に作業区画を一辺50cmから50cmずつ拡大した実験区画を用意し実験を進めた。鍬鋤の違いが広さと深さに相関することが分かったが、柄の長さの問題と、土の移動量の少なさが課題として残った。 (4) 払い鋤(刈り払い具)による除草実験⇒木製刈り払い具と石鍬を装着した払い鋤によってススキ原と雑草地の除草作業を行った。木製の刃で十分にススキの刈り払い具もできることが分かった。大きさと重量が効力に反映することが分かった。 ●以上の実験によって、定住化の進んだ縄文時代前期の環境交渉力を数値化する第一歩が踏み出せたと考えられる。施設構築・環境整備の力が一定の水準に達しないと、入植・施設構築・用材調達など集落形成することは不可能である。今回の実験でその技術力の数値化が試みられるようになった。 また、蓄積した実験考古学データをもとに、丸木舟製作・土器煮沸・室温管理の成果をまとめた。
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Research Products
(5 results)