2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢被害者救済のための公私協働型リーガル・ネットワークの研究
Project/Area Number |
21330004
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
守屋 明 Kwansei Gakuin University, 法学部, 教授 (30127592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁木 恒夫 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80284470)
草地 未紀 駿河台大学, 法学部, 講師 (80365006)
一藁 幸 琉球大学, 法文学部, 講師 (20448583)
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Keywords | 基礎法学 / 高齢者被害 / 司法アクセス / 公私協働 / リーガル・ネットワーク / 弁護士 / 司法書士 / 消費生活センター |
Research Abstract |
本年度は、高齢被害者救済システム構築のための実態調査を行う準備として、各地の消費生活センター職員、地域包括支援センター職員、法テラス職員、弁護士、司法書士等に対してインタビュー調査を実施すると共に、今日の高齢被害者問題の特殊性を理論的に把握するため、既存の文献・資料を分析し、その主要な論点を確認した。 実証的研究については、関東・関西・中国・九州(沖縄)それぞれの消費生活センターにおいて担当職員から問題点に関するヒアリングを行うと共に、地域包括支援センターなどの福祉関連行政機関の職員からも高齢被害者問題の発見過程の実情を聴取した。また各地の法テラス事務所での法律相談や法律支援の現状を確認したほか、司法書士会によるリーガル・サポートの現状とその具体的事例についてもインタビュー調査を行い、その問題点を分析した。 理論的研究については、数度の打ち合わせ研究会の開催を通じて、公私協働概念の分析およびその実態について論点を整理した他、多様なリーガル・ネットワークの考え方について検討を行った。また、高齢者被害を早期に発見し、対策を現実化するためにそれぞれのセクターがどのように活動を変容させる必要があるのか、あるいはどのような変容が可能かについて分析を行った。 本年度の調査を通じて、高齢被害者救済システムを構想するためには、都市規模ごとにきめ細かく検討することが必要であることが確認されたと共に、現在は行政・司法・NPO等の担当者個人の意欲に依存するところの大きい高齢被害者救済過程を安定的に作動するためにはネットワークの組織化の必要があること、およびそのための基本的視点が獲得できた。
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