2010 Fiscal Year Annual Research Report
資源保有国の金融危機と資源価格の変動特性に関する研究
Project/Area Number |
21330080
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
大野 早苗 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (40307145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 成康 武蔵大学, 経済学部, 教授 (60203155)
神楽岡 優昌 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40328927)
茶野 努 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10532195)
東郷 賢 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30308019)
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Keywords | 資源ブーム / 海外資本流入 / ガバナンス / 価格の共変動 / 商品先物市場 / 為替変動 / 資本規制 / ダイナミック・ファクター・モデル |
Research Abstract |
平成22年度の研究成果は以下の通りである。まず、第一の研究目的「資源保有国に対する海外資本流入の形態とその決定要因」に関して、代表者大野は資源国73カ国を対象に、為替制度や資本規制、ガバナンス・インフラストラクチャー等に着目した上でFDIおよび短期資金流入の決定要因を検証した。所得水準の低い資源国では汚職の改善や民主化が必ずしも外資導入につながらず、また変動為替相場制の下では短期資金の流入によるオランダ病の可能性が示された。分析対象国の大半は途上国であり、データの信悪性について確認する必要が高いことから、分担者東郷はPPP GDP per capitaに関してデータソースの相違による比較を行った。第二の研究目的「資源保有国の為替政策と通貨危機の発生可能性との関係」に関して、代表者大野はEMP(Exchange Market Pressure)インデックスの検討を行った。第三の研究目的「資源価格の変動特性の分析」に関して、分担者神楽岡はダイナミック・ファクター・モデルを用いて商品価格の共変動を分析した。3つの共通ファクターによって分散の75%が説明でき、原油価格は自分自身が共通ファクターとして他の商品ファクターの共変動をもたらす主因の一つになっていた可能性が示唆された。また分担者茶野は世界各国の主要な商品先物市場のデータを対象に、Lo and MaCkinleyの手法に基づきRandom Workの検証を実施し、資源価格の高騰が始まった2002年頃に構造変化がみられるとの結果を得た。分担者伊藤は原油価格の先物価格を用いてGARCHタイプモデルに基づくボラティリティー変動の検証を実施するとともに、インパルス応答分析を行い原油価格高騰のマクロ経済効果を推計した。原油価格が50%上昇すると鉱工業生産は1年間で0.9%低下するとの結果を得た。企業物価は1.5%上昇する程度の影響であったが、それは負の供給ショックに購買力低下に伴う負の需要ショックが加わるためである。
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