2011 Fiscal Year Annual Research Report
資源保有国の金融危機と資源価格の変動特性に関する研究
Project/Area Number |
21330080
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
大野 早苗 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40307145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 成康 武蔵大学, 経済学部, 教授 (60203155)
神楽岡 優昌 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40328927)
茶野 努 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10532195)
東郷 賢 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30308019)
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Keywords | 資源ブーム / 海外資本流入 / ガバナンス / 価格の共変動 / 商品先物市場 / 為替変動 / 資本規制 / ダイナミック・ファクター・モデル |
Research Abstract |
研究プロジェクトの最終年度にあたる平成23年度は、研究成果を整理して報告書を発行した。 コモディティ投資の拡大を背景に、投機資金の流入による商品先物価格の乱高下が指摘されているが、1)118種の商品先物価格に関する分散の75%は3つの共通ファクターによって説明できる(分担者神楽岡によるダイナミック・ファクター・モデルの分析より)、2)WTIに関して、1か月に2回程度の頻度で年率10%前後の下方ジャンプが発生し、価格の下落局面においてボラティリティが増大するなどの変動特性がみられる(分担者伊藤のGARCHタイプモデルに基づく検証より)、3)商品先物価格の高騰が始まった2002年頃から商品先物価格と株価との相関が上昇し、コモディティのオルタナティブ投資としての魅力が損なわれつつある(分担者茶野による分散不均一性調整済みの相関係数に基づく分析より)、4)米国が大胆な低金利政策を実施した2002年頃から商品価格指数への流動性の寄与が上昇していたが、リーマン・ショックの発生時は流動性要因のみならず実需要因も商品価格の急落に影響していた(代表者大野と分担者茶野の構造VARに基づく分析より)、などの結果を得た。その他、5)原油価格の変動は固有ショックから起因している可能性があるが、原油価格の変動自体が他の商品先物価格の共通ファクターとして作用している可能性がある、6)流動性の影響が相対的に大きかったのはフォワード・カーブがバックワーデーションの形状を示す傾向がみられる非鉄金属である、7)金は2008年の流動性逼迫時に逃避先資産として選択されていた、などの結果が得られた。 資源国の高騰は資源国経済にも影響を及ぼし得るが、1)低所得資源国では汚職の改善や民主化が必ずしも資源開発等のFDIの増大につながらない、2)投資環境の整備はFDIの増大に寄与することが示されたが、短期資金流入への影響は観察されない、3)為替レートの安定化はFDIを促進させる傾向がみられる、4)為替変動を許容する為替制度を採用している資源国では為替差益を狙った投機的資本流入が促進され、オランダ病をさらに深刻化させる可能性がある、5)国際商品価格の上昇はFDIよりもむしろ短期資本流入を促進させる(代表者大野の分析より)、等の結果を得た。また、分担者東郷は代表的な2つのPPP GDP per capitaに関して順位順序検定を行い、国際比較可能性に関する問題を指摘した。
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Research Products
(28 results)