2009 Fiscal Year Annual Research Report
移住生活者の生活支援と移民政策における福祉課題の位置づけに関する日韓比較研究
Project/Area Number |
21330141
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
三本松 政之 Rikkyo University, コミュニティ福祉学部, 教授 (10196339)
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Keywords | 多文化家族 / 移住労働者 / 多文化社会 |
Research Abstract |
本研究は外国人移住者を巡る社会福祉政策研究として政策的・実践的対応において日本に先行する韓国の多文化政策の実態、課題を把握し、両者の比較検討を通して具体的な福祉施策形成に寄与することを目的としている。2009年8月8日から13日にかけて連携研究者(朝倉美江、原史子、中尾友紀ら)と訪韓し、保健福祉家族部、東大門区多文化家族支援センター、医療支援のヒニョン医療共済会、多文化家族への支援等を行っている花園社会福祉館、月渓総合社会福祉館、また移民支援の市民団体として外国人移住労働者対策協議会、青い市民連帯、さらに福祉支援策に関わりソウル福祉財団等で聞き取り調査を実施した。調査から正規滞在と非正規滞在とが連続的な関係にあり、移民を韓国の中でどのように位置づけるかによってその評価は変化するものであることが明らかとなった。韓国では、一方で非正規滞在者の排除が強化されつつあり、他方で多文化社会形成に向けた政策が志向され、多文化家族、移住労働者支援政策が整備されつつある。それらの政策の下で、多様で活発な民間の移民支援活動が行われている。これらの地域での多文化交流や移民支援活動などが移民の生活を支え、移民と地域住民との新たなつながりや、移民が地域の活動や政策に参加できるしくみを構築しつつある。国は政策の枠組みを作り地方行政を統括し、地方自治体における施策の推進を図り、地方自治体においては補助金による財政的な支援という形で施策の実施を民間団体に委ねている。民間団体の中には政府施策と一線を画す組織もあるが、民間支援団体の多くは受委託関係等を通して、政府の支援施策の実践者として大きな役割を果たしている。日本では政策的な裏づけを持った支援策はようやく試みられるようになってきた段階である。韓国における政策推進のための枠組みは、組織間の協働のあり方を模索していく福祉政策形成において参考とすることができる。
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Research Products
(2 results)