2011 Fiscal Year Annual Research Report
適応方略から超越へ:高齢期の心理的適応プロセスの移行に関する調査研究
Project/Area Number |
21330152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 龍太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (20150881)
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Keywords | 高齢期 / 心理的適応 / 認知加齢 / 適応方略 / 老年的超越 / 精神的発達 / 性格特性 / ライフスタイル |
Research Abstract |
本研究は、高齢期には加齢に伴う個人の認知身体機能、社会環境といった資源レベルの低下と伴に心理的適応方略がそれぞれの状態に応じて最適な状態に移行するという仮説を心理学だけでなく、社会学、生理学、医学からなる学際研究の枠組みで明らかにすることを目的とする。 本年度は昨年収集した地域在住70歳(69-71歳)のデータ分析および、80歳(79-81歳)を対象に調査を実施した。70歳データの分析においては、Valuation of Life尺度の信頼性を検討し、Positive側面における信頼性を確認した。また、高齢期の適応に関連する背景要因として職業経験を仕事の複雑性という観点から分析し、認知機能との関連が確認された。病歴に関するデータを整理し使用可能になった。80歳調査は、23年6月から24年3月にかけて兵庫県伊丹市、朝来市、東京都板橋区、西多摩地区(桧原村、日の出町、奥多摩町、青梅市)で実施し総計973名男性457名、女性516名)の参加を得た。本年度は西多摩地区で調査参加者の割合が低かったために、青梅市を新たにフィールドとして追加した。調査項目は、身体的疲労を考慮し、70歳データの分析結果から8割程度に削減した。 なお、本研究が抱える問題として80歳調査の参加者は、70歳と比較して健康面で問題が少ない対象者が選択的に参加する可能性がある。そこで、現在利用可能なデータ約500名を対象に予備分析を行った。その結果、病歴からみるとその可能性が示唆されたが、身体運動機能において80歳調査参加者は低下しており十分に本調査の仮説である「心理的適応方略の移行」を検討することが可能であることが確認された。同時に老年的超越は80歳群で高くなっていることが確認された。 次年度は、80歳データの整備を進め70歳と80歳の比較から仮説の検証を進める。また同時に90歳(89-91歳)を対象に調査を実施しデータ数を増やす予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度に収集した70歳高齢者のデータのデータセットの作成および分析結果の発表を行っており、成果が挙がっている。並行して80歳高齢者のデータ収集が完了した。収集データ数は当初の研究計画を大きく上回った。1000名弱となった。この数は詳細な要因分析に耐えうる数である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、90歳高齢者のデータを収集する予定である。90歳高齢者は体力的な問題もあるので、70歳80歳調査で用いた調査項目を精査しより簡便な調査票として実施する予定である。また、過去2年間は会場招待型の調査を行ってきたが、90歳の調査では訪問調査も併用しより幅広い対象者からデータを収集する予定である。
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Research Products
(21 results)