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2011 Fiscal Year Annual Research Report

欧米型インクルーシブ教育の超克と東アジア・スタンダード・モデルの構築

Research Project

Project/Area Number 21330173
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

岡 典子  筑波大学, 人間系, 准教授 (20315021)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高野 聡子  聖徳大学, 児童学部, 講師 (00455015)
佐々木 順二  九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (20375447)
木村 素子  宮崎大学, 教育文化学部, 講師 (60452918)
中村 満紀男  福山市立大学, 教育学部, 教授 (80000280)
Keywords教育学 / 障害 / インクルーシブ教育 / 社会システム / 国際比較 / 東アジア / 当事者 / 障害当事者
Research Abstract

本研究は、日本を含む東アジア諸国が、自国の社会的・文化的基盤に根ざしたインクルーシブ教育の理念・制度・方法論を構築するため、インクルーシブ教育を成立させる諸条件とインクルーシブ教育の構成要素について総合的に究明することを目的とする。
23年度は、前年度までに入手した資料を用いて、東アジアに共通する基盤と各国に固有の教育課題について、国際横断比較をいっそう進めるとともに、22年度に実施したフィールド研究を踏まえて詳細な聞き取り調査に着手した。この調査は、東アジア各国において、立場の異なる部署や個人が、インクルーシブ教育の理念・制度・実態についていかなる認識を有しているのかを階層的に把握することを意図するもので、23年度はまず、韓国を対象として実施した。インフォーマントは、国および地方の教育行政におけるインクルーシブ教育担当者、インクルーシブ教育を実践する学校の管理職教員であった。この調査結果は、同国のインクルーシブ教育が、欧米とくにアメリカの影響が濃厚である教育システムの急速な導入と、同じく急速に、しかし決して一様にではなく欧米化が進行している社会的基盤によって、様々な矛盾と混沌が生じている実態を示唆した。さらにこの結果は、欧米モデルのインクルーシブ教育が示す要素の何が東アジアにとって親和的であり、何が非親和的であるのか、いいかえればインクルーシブ教育における欧米的要素とは何かを改めて明示するものでもあった。
研究結果については、韓国以外の国を対象として引き続き調査を続行するとともに、欧米との再度の比較検討を通じて、東アジアに導入された欧米的理念・システムは、欧米それ自体といかなる点において共通するのか、あるいは根本において異なるのかについていっそうの分析を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

これまでの3年間の研究状況を総合的にみて、当初の計画以上の成果が得られていると考えている。その最大理由は、これまでに入手できたデータの貴重性である。このことは、資料入手、フィールドワークによる実地のデータの双方に言えることであるが、これにより、研究計画時点のそれを超えるダイナミックな仮説の再構築が可能となった。また研究協力者の点でも、研究計画の時点で想定していなかった複数名の研究者から、研究協力が得られたことで、彼らを通じて研究計画の深化と拡大が可能となった。
研究業績については、今年度は量的には十分ではないが、これはひとつには、今年度になって当初の予測とは異なる情報を入手できたため、もう少し十分な検証が必要であると判断したことによる。しかし、次年度中には成果を公表できる見込みであり、現在、投稿準備を進めている。また、本研究には研究代表者、分担者のほか、海外の研究協力者を含む複数名の研究協力者が関与しているが、これらの研究協力者によっても本研究課題に関連する成果は公表されている。

Strategy for Future Research Activity

本課題は、次年度が最終年度となる。そこで今後は、当初の研究計画どおり、国際シンポジウム、ワークショップ等を計画的に実施することにより、これまでの研究成果についてより広域な観点から整理する。さらに、当初の研究計画には含んでいなかった内容であるが、各国におけるインクルーシブ教育とソーシャル・インクルージョンとの連続性・非連続性についても一層のアプローチを試みるため、社会福祉、文化人類学等の近接領域の専門家を新たに研究協力者として確保することで、調査内容についてもより幅広い視点から追加と修正をはかる。

  • Research Products

    (7 results)

All 2012 2011

All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 5 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 日本の初期盲学校の創設理念とその達成状況に関する検討-高田・福島・東海3校の比較-2012

    • Author(s)
      岡典子・中村満紀男・吉井涼
    • Journal Title

      障害科学研究

      Volume: 36 Pages: 1-17

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 新潟県内盲唖学校5校の経営困難問題と社会的基盤との関連-大正12年勅令までの高田校と長岡校を中心に-2012

    • Author(s)
      中村満紀男・岡典子
    • Journal Title

      障害科学研究

      Volume: 36 Pages: 33-51

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 自閉症児療育キャンプにおける支援学生の思い2012

    • Author(s)
      一門恵子・古閑法子・佐々木順二
    • Journal Title

      応用障害心理学研究

      Volume: 11(印刷中)

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 障害児の集団適応評定尺度と健常児の障害児とのコミュニケーション評定尺度の改訂2011

    • Author(s)
      池川由美・押川あかね・戸ヶ崎泰子・木村素子
    • Journal Title

      宮崎大学教育文化学部附属教育実践総合センター研究紀要

      Volume: 19 Pages: 49-61

  • [Journal Article] 戦時下における精神薄弱児施設の苦悩-藤倉学園の疎開経緯と疎開生活の実態-2011

    • Author(s)
      高野聡子
    • Journal Title

      東京社会福祉史研究

      Volume: 5 Pages: 53-62

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 東アジア特殊教育共同体構築における日本の特別支援教育の位置と役割2011

    • Author(s)
      中村満紀男・洪浄淑
    • Journal Title

      特殊教育ジャーナル:理論と実践(韓国語雑誌)

      Volume: 12(4) Pages: 481-501

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] シカゴ公立通学制聾学校による貧困層の就学・通学困難問題への対処-1870年代~1910年代-2011

    • Author(s)
      木村素子
    • Organizer
      社会事業史学会
    • Place of Presentation
      ノートルダム清心女子大学(岡山県)
    • Year and Date
      2011-05-07

URL: 

Published: 2013-06-26  

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