2010 Fiscal Year Annual Research Report
高校生文化と進路形成の変容(第3次調査) 単線型教育体系における多様化政策の課題
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21330193
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
樋田 大二郎 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (80181098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩木 秀夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90114389)
耳塚 寛明 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (40143333)
大多和 直樹 東京大学, 大学総合教育研究センター, 助教 (60302600)
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Keywords | 生徒文化 / トラッキング / 高校 / メリトクラシー / 学校適応 / 進路形成 / 単線型教育体系 / シンガポール |
Research Abstract |
(1)三年計画のうち、初年度に実施した2つの県の33高校を対象とした質問紙調査と訪問聴き取り調査の分析を行い、日本教育社会学会大会で口頭発表を行い、青山学院大学・教育人間科学部紀要に論文を発表した。また、2つの県の教育委員会および調査への情報提供を頂いている合計7校を訪問し、調査結果の紹介と調査結果に基づいた追加の聴き取りを行った。 これらを通してわれわれが得た知見は次の通りである。(1)高校のトラッキンク構造が更に弛緩していること、それに並行して(2)意識面ではメリトクラシー規範意識が弱まり、(3)また学習指導面では従来的な教養主義的な教科教育が弱まっていることが明らかになった。こうした傾向の中で、(4)生徒の学校生活における進学準備的・就職準備的な側面が弱まり、(5)行事・部活などの非アカデミックな部分の比重が高まった。(6)教師=生徒関係は肯定的な傾向が高まり、(7)全体としても生徒の高校への適応度が高まった。(8)高校は生徒のアカデミックな側面での適応を高めるために個別主義的面倒見主義による学習指導を行っている。 また、社会階層の側面から見ると、(1)高校階層と社会階層の相関が高まり、地域のトップ校では父親の半数が大卒でかつ専門・管理職に就いていた。(2)また下位校においては、1割以上の生徒が単親家族の子どもであった。 (2)2年目の調査としてシンガポールで国際比較調査を行っている(質問紙調査)。対象は上位高校にあたるJunior Collegeと下位高校にあたるITE(職業訓練学校)である。事前の訪問インタビュー調査では、スーパーメリトクラシー国家とよばれているシンガポールであるにもかかわらず、JCは近年非アカデミックな側面に力を入れている。また、ITEは産業界からの即戦力のニーズに応えるために次々とコースの再編・新設を行い、生徒は就職先とのレリバンスの高いカリキュラムによって学習を動機付けられていた。
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Research Products
(5 results)