2011 Fiscal Year Annual Research Report
高校生文化と進路形成の変容(第3次調査) 単線型教育体系における多様化政策の課題
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21330193
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
樋田 大二郎 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (80181098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩木 秀夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90114389)
耳塚 寛明 御茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (40143333)
大多和 直樹 東京大学, 大学総合教育研究センター, 助教 (60302600)
金子 真理子 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 准教授 (70334464)
岡部 悟志 株式会社ベネッセコーポレーションベネッセ教育研究開発センター, 教育研究部, 研究員 (70416832)
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Keywords | 高校教育 / 生徒文化 / 進路形成 / 時系列調査 / 国際比較 / 単線型教育体系 / 多様化 / 教師調査 |
Research Abstract |
本研究会が過去30年間に実施してきたデータを用いて、日本の高校教育の30年間の変動を時系列的に明らかにするともに、シンガポールの高校教育との国際比較研究を行った。さらに、シンガポールについては、本研究会が10年前に実施した調査データを用いてシンガポールにおける時系列研究を行った。このことによって、異なる文脈の中での高校教育の変容の様相を明らかにした。 本年度は、国内では高校現場および県教育委員会と調査結果をシェアし、意見交換を行った。また、現場からの要望に応じてデータの再分析を行った。 シンガポールについては、アンケートデータの分析およびアンケートデータの分析結果を踏まえて、各高校およびシンガポール教育省を訪問してのインタビュー・意見交換を行った。 日本の高校教育が単線型教育体系のもとで多様化を行おうとすることで様々な困難を抱えているのに対して、シンガポールでは複線型教育体系をとることで容易に多様化を推進していた。また、高卒後の進路との関連では、単線型教育体系下で訓練可能性を高める日本の教育に対して、複線型のシンガポールは即戦力性を高める教育を行っていた。このことは、進路と学習内容のレリバンスを高めることに役立っていた。ただし、日本のほうが、「社会貢献意識」や「人間力」とでも表現できる力量形成に教育の強調点がおかれていることが分かった。 また、シンガポールはウルトラメリトクラシー国家と呼ばれているが、中卒時にOレベル試験で分岐先の進路が決められたあとは、各分岐内での競争は教師や親の期待、公的表彰などのポジティブな報酬が多く用いられていることが分かった(シンガポールでは期待に応えるために勉強するという動機付けが機能していた)。このような結果、シンガポールの生徒は学習奨励の圧力に対しては不満があるものの高校生活に対しする満足度は高くなっていることが分かった。
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Research Products
(21 results)