2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガロア・タイヒミュラー被覆塔をめぐるモジュライ空間と数論
Project/Area Number |
21340009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 博昭 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60217883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角皆 宏 上智大学, 理工学部, 准教授 (20267412)
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Keywords | 遠アーベル幾何 / モノドロミー表現 / デデキント和 / 写像類群 / ガロア・タイヒミュラー理論 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,数論的基本群をめぐる様々な不変量記述の精密化を進めた.楕円曲線マイナス1点の基本群から生じるアイゼンシュタイン型不変量については,合同周期性というべき性質として値の合同類を与える法にレベルを乗じた平方周期性が存在することを証明する論文を"Some congruence properties of Eisenstein invariants associated to elliptic curves"のタイトルでまとめた.写像類群のモノドロミー像の余核に関しては,上智大学の角皆宏氏と京都大学の高尾尚武氏と共同研究を進め,引き続き継続している.この中で森田トレースの安定性についての結果を得た.また種数0の場合のモノドロミー像の対称群作用での表現を,計算代数システムを用いて計算するアルゴリズムを確立し,高次数まで計算を進めた.この過程で対称群の表現については,様々な局面で一般にヤング図形の第2腕以下の形についての安定性が存在することが確かめられた.ニース大学のWojtkowiak氏とは,エル進ポリログ関数の関数等式について共同研究を進めるとともに,対数的エル進アソシエーターの展開係数の様子について新たな問題意識を共有し,データの分析を進めた.以上の進展は,本課題が目指すガロア・タイヒミュラー塔から生じる深い数論性を取り出して制御する理論の裾野と展望をさらに広げる可能性がある.今年度は,このほか前年度に主催した二つの研究集会,京都大学数理解析研究所合宿型セミナー「Galois-Theoretic Arithmetic Geometry」(October19-24,2010)および第3回日本数学会季期研究所「Development of Galois-Teichmuller theory and Anabelian Geometry」(October25-30,2010)のプロシーディングス報告集の編集を開始し,おおむね順調に経緯している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの小課題について,着実に知見が深まり考察すべきデータが集約されて来ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きテーマについて熟考する研究時間を確保する.海外渡航も計画中である.
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Research Products
(3 results)