2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340020
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
服部 哲弥 Keio University, 経済学部, 教授 (10180902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
服部 久美子 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80231520)
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Keywords | 無限粒子系 / 流体力学極限 / 確率ランキング模型 / Burgers方程式 / move-to-front規則 / オンラインリテール / ロングテール / くりこみ群 |
Research Abstract |
本研究の目的は,確率モデルのくりこみ群による解析という枠組みから出発して,しかし,くりこみ群に必ずしもこだわらずに,既存の確率モデルとは異なる数学的広がりを持つクラスを発見し,その性質を研究することである.他分野からの刺激を数学の新しい概念として結実させ,現象に動機づけられた理論的描像に基づく確率解析学の広がりを目指しつつ,研究の体制づくりを行う. 本年度は特に,分担者服部久美子との,昨年度に終了した科研費研究課題の最終年度の共同研究で開始した,確率ランキング模型と名付けた多自由度確率過程(粒子系)の研究を展開した.大きな成果として,無限粒子スケーリング極限(流体力学的極限)の存在証明に成功した.また,流体力学極限の存在やその性質は,極限分布の従う蒸発項を持つBurgers型非線形偏微分方程式系の特性曲線による解法によって説明できるという数学的構造を明らかにした.さらに,これまで世界的に全く気づかれていなかった応用上の新展開として,web上のランキング,たとえばAmazon.co.jp書店の本のランキングや巨大掲示板2ch.netの板のスレッド一覧の順位,などの時間変化が,この確率ランキング模型で説明できることを見出した.「最近の人気度」に基づく順位付けに関して普遍的な数理模型であるという重要な数理科学的性質を見出したという意味を持つ.このように,確率ランキンダ模型の研究上の広い可能性について大きな展開の着手に成功した. 前任地東北大学で分担者竹田雅好とともに興した東北確率論セミナーを含む研究拠点との連携も本研究課題科研費の支援を受けているが,同大学確率論グループの大学院生小林孝長君の修士論文「ランキングプロセスの時間変更過程とオンラインランキングの分析」に具体的成果が結実した.
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Research Products
(7 results)