2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340020
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
服部 哲弥 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (10180902)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 就将 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10183964)
安田 公美 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (40284484)
厚地 淳 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00221044)
服部 久美子 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80231520)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 確率順位付け模型 / 無限粒子系 / 流体力学的極限 / ポワッソン確率過程 / Burgers方程式 / move-to-front規則 / オンラインリテール / ロングテール |
Research Abstract |
本研究の目的は,確率モデルのくりこみ群による解析という枠組みから出発して,しかし,くりこみ群に必ずしもこだわらずに,既存の確率モデルとは異なる数学的広がりを持つクラスを発見し,その性質を研究することである.研究を通して,他分野からの刺激を数学の新しい概念として結実させ,確率論研究の広がりを目指しつつ,研究の体制づくりを行うことを目指してきた.本研究課題応募時以降の,研究代表者の慶應義塾大学経済学部日吉数学研究室への異動に伴う研究環境の大きな変化を考慮して,ランダム系,整数論,関数論との接点,無限粒子極限の研究,および,経済学や数理統計学を含む数理科学への確率論の応用も逐次主要な研究対象に加えてきた.本年度は,計画どおり,現任地慶應義塾大学日吉数学研究室における研究体制のいっそうの強化作りと,数理モデルに関する研究のいっそうの拡大を確保したと考える. 具体的な研究成果の一つとして,しばらく続けている確率順位付け(ランキング)模型と名付けた多自由度確率過程(粒子系)について,日本学術振興会特別研究員楠岡誠一郎氏との共同研究が順調に結実し,この模型に組み込まれている各粒子に付随したポワッソンランダム測度の強度が時空両方に依存する場合にまで確率順位付け模型の定式化と大数の法則(流体力学極限)を拡張した.この模型について数学的に自然な枠組みとして考えていた域に達し,数学的基盤をほぼ確立したと考える.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度,本研究課題期間を含む期間の成果に基づく単行本「Amazonランキングの謎を解く」を期待より早く出版して当初計画以上に大きく進んだことに引き続き,本年度は楠岡誠一郎氏との共同研究が無事出版されて数学的に自然な枠組みとして考えていた域に達し,前年度の大幅な進歩と合わせて,当該研究の数学的基盤が確立したと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
数学的には5年前の研究課題応募時に想定し得た最善の研究成果の水準に到達した.このこともあって,研究計画最終年度前年度応募を行った.これによって計画初年度に重なった研究代表者の移籍という,研究計画作成時からの大きな環境変化に即して研究体制を再編し,本研究計画で確立した高度な確率論的手法の現実の社会への応用や社会との相互作用に基づく数学的内容の抽出という方法論の拡大適用を含めた研究の次の段階へのステップアップを提案した.この提案が不採択となって,これまでの研究成果の確かさや重要性が認められない場合は,多くのノウハウが無駄になることは残念だが,次年度は本研究計画の成果確定を急ぎ,次々年度以降の研究支援規模の縮小に備える.
|
Research Products
(8 results)