2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340036
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 泰彦 神戸大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00202383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野海 正俊 神戸大学, 自然科学研究環・重点研究部, 教授 (80164672)
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (10213745)
齋藤 政彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (80183044)
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Keywords | 可積分系 / パンルヴェ方程式 / 楕円差分 / 超幾何函数 / 行列式表示 / パデ補間 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画目的・実施計画として以下の3項目を掲げた。 (1)楕円差分パンルヴェ方程式のラックス形式の特殊解への応用。 (2)楕円差分の場合の単純なラックス形式の構成や、それを応用した特殊解の構成。 (3)4次元超対称ゲージ理論と2次元共形場理論やパンルヴェ方程式との関連。 対応する研究成果は以下のとおりである。 (1)で目標とした問題:「差分E8型パンルヴェ方程式の行列式型特殊解をパデ補間の方法で導く」に関して、22年度に得られたq差分の場合の簡潔なラックス形式を用いることにより、解の明示公式を含めて期待どおりの結果を得ることができた。その過程において、3項間差分方程式よりも近接関係式を基本とするラックス形式の方が簡潔かつ強力であることが判明し、さらに、後者の定式化を用いることで、楕円差分パンルヴェ方程式および、そのラックス形式や特殊関数解の行列式表示も導くことができた。これにより、項目(2)についても予想以上の解決が得られた。これらの成果は一括して、国際研究集会Infinite Analysis 11において発表すると共に,野海、辻本氏との共著論文"Pade interpolation for elliptic Painleve equation"にまとめ、同集会のproceedingsとして投稿し受理された。項目(3)に関しては、進展はなかった。 一方、分担者の太田は、平面曲線の可積分な運動の離散化を研究し、ホドグラフ変換の離散化などで重要な成果を挙げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要課題として掲げたパデ近似の特殊解への応用を完全に遂行できた上に、副産物として、楕円差分パンルヴェ方程式の極めて簡潔な表示が得られるなど、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
離散パンルヴェ系は、数理物理への応用や、量子化・多変数化などの発展が期待されるが、そうした進展への波及が進んでいない。応用を進めるために、定式化を整理し普及にも努める必要がある。
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