2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波サブミリ波による巨大バイナリーブラックホールの観測的研究
Project/Area Number |
21340044
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
井口 聖 国立天文台, 電波研究部, 准教授 (10342627)
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Keywords | 電波天文学 / バイナリーブラックホール / 巨大銀河形成 / 精密モニター |
Research Abstract |
本研究では、観測速度を向上するために観測精度(感度)のさらなる向上を目指したミリ波サブミリ波における高精密モニター観測法の開発を行う。そして、ミリ波サブミリ波での高精密モニター観測を実施することでバイナリーブラックホールの検出を目指すものであった。 検出感度をリミットしているのはアナログ/デジタル変換器の性能が非常に大きく関与している。 現在、野辺山45m電波望遠鏡やアタカマ・サブミリ波望遠鏡(ASTE)に搭載されているアナログ/デジタル変換器のビット数は1ビットである。それを3ビットに拡張し、感度を1.5倍上昇させた。さらに線形応答の範囲が15dB以上確保できることからリニアリティーの改善も可能なる。さらに4GHz帯域幅を実現し、世界に類の無い広帯域高感度観測装置を完成させた。 そこで、前年度までに開発を行った高精密モニター観測装置をASTE望遠鏡に搭載し、ミリ波からサブミリ波帯でのALMAを想定したサーベイ観測を実施した。ASTE望遠鏡は、大気の透過率が非常に良い"チリのアタカマサイト"でミリ波からサブミリ波まで観測することが可能であるが、5000mの高地といえどもサブミリ波が観測できるのは冬の時期(日本の夏の時期)であるので、その時期に観測を実施した。 巨大楕円銀河である3C66Bを観測し、その中心に存在する超高速運動の時間変化を描くことに成功した。この成果は米国の天文学専門誌「アストロノミカル・ジャーナル」に掲載された。 また、昨年度、巨大楕円銀河である3C66Bを観測し、その中心に衝突直前のバイナリーブラックホールが存在することを発見した成果に関し、「アメリカ天文学会」や「重力波・バイナリーブラックホール・銀河衝突に関する国際研究会」にて講演し、精力的に議論を展開した。
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Research Products
(4 results)