2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21340055
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
谷本 盛光 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90108366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 博章 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60262424)
淺賀 岳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70419993)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 世代対称性 / フレーバー混合 / ニュートリノ質量 / CP対称性の破れ / B中間子 / 超対称性 / LHC実験 |
Research Abstract |
本計画の主たる目的は、世代の離散対称性の現象論的研究を行うものである。とりわけ、世代離散対称性によってクォークとレプトンの世代構造にとどまらず、超対称性粒子、すなわちスクォークとスレプトンの世代構造を明らかにすることである。以下に、今年度の研究成果をまとめた。 ●LHCbにおけるB中間子のCP対称性の破れの分析からスクォークの世代混合の構造を現象論的に導き出すことに成功した。ここではBs中間子に関するCP対称性の最新データとBファクトリーで測定されたBd中間子での精密なCP対称性をインプットとし、さらにまだ発見されていないスクォークの質量の下限を考慮した。この結果によって超対称性粒子の効果が低エネルギーでの物理にどの程度間接的に寄与するかを明らかになった。あわせてK中間子のCPの破れへの寄与も評価した。 ●ニュートリノのフレーバー混合の大きさは実験によって精密に決まってきた。これらの混合の大きさをニュートリノ質量行列の簡単な構造から導かれることを示した。とりわけθ13の実験値の大きさが必然的に予言される。 ●レプトンの3世代スキームで右巻ニュートリノが存在し、そのうちの1世代のみが極端に軽い場合KeV程度の質慮のステライルニュートリノが存在する。このフレームワークはフレバー対称性または余剰次元の理論では容易に実現できる。このフレームワークのなかでは第1世代のアクティブニュートリノは他の二つのニュートリノに比べ極端に軽くなる。その場合、ニュートリノのフレーバー混合は実験値の同じ大きさとなる。とりわけθ13の予言値はカビボ角と関係つけられることを示した。 ●ニュートリノに関するこれまでの成果について、ドルトムント(ドイツ)とトリエステ(イタリア)の国際会議で招待講演を行った。またハイデルベルクのマックスプランク研究所でB中間子のCP対称性の破れについて、招待セミナーを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は、世代の離散対称性の検証を現象論的に行うものである。22年度まではニュートリノの世代対称性に限定してきたが、23年度以降はあらたにクォークとスクォークについての世代対称性をB中間子のCP対称性の破れに適用して、研究をすすめ、24年度研究成果に示したようにスクォークの世代構造の解明に向けて、大きな進展があった。 また、ニュートリノについては予想通りニュートリノフレーバー混合が実験によって精度よく決定され、詳細な現象解析が可能となった。そのため、数値解析によるニュートリノ質量行列の解析がすすみ、世代対称性の検証に大きな進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題である世代の離散対称性の現象論的研究は、24年度より終盤に入り、クォークとレプトンをあわせた世代対称性の考察を現象解析を通して深めている。24年はニュートリノ振動の新しいデータθ13に関する新しいデータが発表されそれが確立してきた一年であるとともに、LHCbにおけるCP対称性の破れに関するデータは続々と発表されてきた。小林益川の標準モデルからのずれが詳細に議論可能となった。これらの状況を踏まえて、現象論的研究を大きく進めることができるので、展望は明るい。 25年度は最終年度となり成果を国際会議で発表すると同時に、新潟大学においてフレーバー対称性の国際会議FLASY123を開催する。また、研究を締めくくるため研究支援者を一年間雇用する。
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Research Products
(8 results)