Research Abstract |
昨年度の成果を発展させ,銀河系スケールでの宇宙線分布の研究を推し進めた.銀河面からの広がったガンマ線放射の解析により,銀河の中でも太陽系より外側の領域で(a)宇宙線スペクトルの形に大きな変化がないこと,(b)一方で宇宙線強度は,標準的な宇宙線源候補の分布と宇宙線閉じ込め領域の大きさからの予想よりも大きいこと,の2点を見出し,執筆責任者として投稿論文(Ackermann et al.2011, ApJ 726, 81)にまとめた.この研究は宇宙線の起源と伝播の標準的なモデルに見直しを求めるものであり,最近の出版でありながら既にいくつかの論文で引用されたことからも分かるように,科学的重要性が高い.またFermiチームと共同で,近傍銀河M31(アンドロメダ銀河)やSMC(小マゼラン星雲)からのガンマ線放射の解析も進め論文として出版した.これらの論文中では,本研究で昨年度出版した結果(Abdo et al.2009, ApJ 703,1249)との比較も行った 平行して,(1)太陽系近傍の分子雲からのガンマ線放射の解析,および(2)将来の宇宙線研究を目的とした,国産軟γ線検出器の衛星軌道上バックグラウンドの評価,の2点を目標にした研究も進めた.(1)は大学院生を指導して進めており,国際会議で発表させるとともに投稿論文にまとめさせている.また(2)も大学院生を指導して進めるとともに研究代表者自身により国際会議で発表し,論文(Proc.SPIE,7732,773239)として取りまとめた
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