Research Abstract |
これまでの研究を発展させ,太陽系近傍の宇宙線と星間ガスの分布を詳細に調べるべく,近傍分子雲領域(R CrA分子雲,Chamaeleon分子雲,Cepheus & Polaris Fare分子雲)の解析を進めた.これらは高銀緯に位置して銀河面放射の影響を受けにくく,また距離も精度良く分かっているので宇宙線スペクトルを詳しく調べるのに適している.電波・赤外線による星間ガスマップとの詳細な比較から,数100pcスケールで20%程度以上の宇宙線強度の違いがあることを見出し,「宇宙線は,時間的空間的に連続して分布した源から広がる」という従来の単純化した銀河宇宙線モデルに見直しをせまることとなった.また伝統的な分子雲のトレーサーであるCO輝線でトレースできるのと同程度の質量の星間ガスが存在することも明らかにした.これらの成果は執筆責任者として論文にとりまとめ,現在投稿中である.平行して,銀河面ガンマ線放射の全体像の解析(論文掲載決定)やはくちょう座領域の詳細な解析(Ackermann et al. 2012, A&A 538, A71 ; Ackermann et al. 2011, Scienc e334, 1103)をFermiチームと協力して進め,論文に取りまとめた.これらの論文中では,本研究による前年度までの成果(Abdo et al. 2009, ApJ 703, 1249 ; Ackermann et al. 2011, ApJ 726, 81)と比較して宇宙線分布の議論を行った.また関連するテーマで4件の研究発表を行った.(内訳は国際会議1つ,国内研究会の招待講演2つ,指導した学生による発表1つ)
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