2010 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギーX線(≧1MeV)による微小平板ビーム放射線治療法の基礎的研究
Project/Area Number |
21340066
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
篠原 邦夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10112088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 方一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70158608)
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Keywords | 放射線治療法 / 微小平板ビーム / 高エネルギーX線 / モンテカルロコード / ガフクロミックフィルム / 顕微分光 / グリオーマ / マイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
1.光源の開発 フォトカソードRF-Gunによる電子ビーム増強とTa板に生じた制動X線のタングステン製スリットによる切り出しで、微小平板X線生成に関する次の結果を得た。(1)ファイバーアンプシステムとLD4Pass光路の構築で従来の約13.7倍のUV強度が得られ、1.73[nC/bunch](100bunches,5Hz)の電荷量の電子ビームを得た。また長時間運転時の安定度が向上した。(2)電子ビームのエネルギーが高いほどX線の拡がり角が大きくなることを明らかにした。(3)この制動X線をタングステンスリットによって切り出し、スリット幅1mmのとき22.8mGy/分、スリット幅0.5mmで4。8mGy/分のピーク強度のX線が得られた。 2.線量分布解析 連携研究者の成山展照博士とともに、高エネルギーX線で問題となるコリメータ内面の散乱・反射の影響を検討した。散乱・反射がゼロの理想条件における線量分布のモンテカルロシミュレーション結果と実際の測定結果を比較し、ピークと上側裾野部分では両者が概ね一致したが、スリット下側で測定値が大きく非対称な分布を示し、全反射の影響と思われる測定値の増分が見られた。 3.治療作用機構の解析 連携研究者の近藤威博士とともに遺伝子レベルの放射線応答を検討した。照射1週間後のビーム照射組織、ビーム間の非照射部、全く非照射の対側脳、をそれぞれレーザーマイクロダイセクション(LCM)によって切り出してRNAを抽出し、Differential Display(Gene Fish)法によって発現遺伝子を比較した。その結果、コントロールに比べてスリット照射部位で発現量が上昇し、ブロード照射部位で減少している遺伝子としてchrdl1が確認された。この遺伝子は神経幹細胞においてグリア細胞運命決定の阻害を司る遺伝子で、治療作用機構にmRNAを介した情報伝達系の活性化が示唆された。
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Research Products
(8 results)