2010 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度サンプリングGPS観測に基づく地球科学観測の新たな展開
Project/Area Number |
21340125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 教授 (80134633)
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Keywords | GPS / 高頻度 / GPS地震計 / 東海 |
Research Abstract |
GPSを用いた観測で最近1秒毎のサンプリングによって地震波動を捉える手法が開発され,新たな応用分野が広がりつつある.さらに高頻度のサンプリングで地動をとらえることができればGPSを地震計として活用することが可能であり,GPSの持つ特性から地球科学に新たな進展をもたらすものと期待される.このため,我々はこれまでにない高頻度サンプリングのGPSアレイ観測を実施して地震波動を含む信号及び雑音の特性とその原因をさぐることや,その応用としての地震の破壊伝搬過程から静的変位までをシームレスに明らかにする手法を開発すること等を目的として研究を進めている. 本年度は,主としてシミュレーション実験を実施して高頻度サンプリング観測の際の特性を調べることとした.まずTrimble Net-R8を用い,Spirent社製の信号発生器によって生成された信号を用いた実験を行った.仮想的に半径1mの中心と円周上を回る基線による信号を生成して受信機にデータを取り込み,基線解析を行った.その結果10Hz観測ではほぼ100%のFix率が得られたのに対し,50HzではFix率が70%以下に低下することが明らかとなった. 次に,Trimble Net-R8,Topcon Net-G3A,NovAtel OEMVの3機種を用いた比較実験が行われた.信号発生器で様々な加速度及びサンプリングで特性実験を行った.その結果加速度が2Gを超えるとどの受信機でもデータをトラッキングすることができ塗いことがわかった.次に1Hz,2Hz,5Hzで比較実験を行ったところ,機種によっては高頻度サンプリングになるにつれ位相,振幅とも入力信号からのずれが大きくなることが判明した.最後に2008年宮城・岩手内陸地震の際に取得されたデータを用いた再現実験を行った.この場合も前記の基礎実験と同様,機種による差異が出ることが判明した.
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