2011 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度サンプリングGPS観測に基づく地球科学観測の新たな展開
Project/Area Number |
21340125
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 教授 (80134633)
|
Keywords | GPS / 高頻度 / 地震計 / 東海 |
Research Abstract |
GPSを用いた観測で1秒毎のサンプリングによって地震波動を捉える手法が開発され,新たな応用分野が広がりつつある.さらに高頻度のサンプリングで地動をとらえることができればGPSを地震計として活用することが可能であり,GPSの持つ特性から地球科学に新たな進展をもたらすものと期待される.このため,我々はこれまでにない高頻度サンプリングのGPSアレイ観測を実施して地震波動を含む信号及び雑音の特性とその原因をさぐることや,その応用としての地震の破壊伝搬過程から静的変位までをシームレスに明らかにする手法を開発すること等を目的として研究を進めている. 昨年度実施したシミュレータに基づく実験に引き続き,今年度は以下の研究を実施した. (1)前年度に購入した3機のGPS受信装置を静岡県内の3か所(伊東市川奈,静岡大学及び相良)に設置した,50Hzサンプリングによる観測のほか,静止測位のための30秒毎のサンプリング観測も実施している.しかしながら,2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震の影響で余震活動が福島から千葉の太平洋沿岸で高いことから,2012年3月には別途構築中であったいわき~房総にかけての沿岸域での余効変更観測網に組み入れることとし,相良及び伊東川奈に設置してあった受信装置をいわき市上遠野及び神栖市柳川に移設した. (2)前年度実施したシミュレーション結果について,論文にまとめEPS誌に投稿し2011年11月に受理された.また,4月のEGU会議ならびに12月のAGU会議においてポスター発表を行った. (3)シミュレーションでは数Hz以上のサンプリングで位相・振幅が入力信号からずれていくことが確認されたため,これを補正する方法について考察した.当面フーリエ変換・逆変換の手法を用いてどの程度まで補正できるか,について検討を進めることとした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記載した実施事項すなわち,高頻度サンプリングGPS観測装置を購入して現地観測を実施する点については達成している.また,当所の研究実施内容に書かれていなかったシミュレータを用いた実験ができたため,受信機の特性を室内実験の形で実施できたことは当初の計画以上といってよい.一方現地観測はまだ始めてから時間が経過していないため,有意な地震記録は取れていない.3年目までの結果による成果発表も既に行われ,論文が受理された段階である.以上のことから,おおむね順調に進展してると考えてよい.
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震の余震活動が続いているため,当初予定の通りに静岡県内に設置した受信装置を東北地方~関東地方の太平洋沿岸に一部を移設した.このため,有意な地震記録が計画期間内に取得できると期待される.また,室内実験についても研究協力者が得られたため,シミュレータを用いた実験によって高頻度サンプリング時における特性を得ることができるようになった.さらに,高周波帯における補正についてアイデアが出てきたため,これらの手法を駆使することにより,当初考えられていなかったような成果が上がることが期待される.
|
Research Products
(10 results)
-
-
[Journal Article] Slip Rate Estimation of the Lembang Fault West Java from Geodetic Observation2012
Author(s)
Meilano, I., H.Z.Abidin, H.Andreas, I.Gumilar, D.Sarsito, R.Hanifa, Rino, H.Harjono, T.Kato, F.Kimata, Y.Fukuda
-
Journal Title
Journal of Disaster Research
Volume: 7
Pages: 12-18
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-