2012 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度サンプリングGPS観測に基づく地球科学観測の新たな展開
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21340125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 照之 東京大学, 地震研究所, 教授 (80134633)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | GPS / 高頻度サンプリング / GPS地震計 / 東海 / 茨城 |
Research Abstract |
本研究の目的は高頻度サンプリングによるGPS観測がどこまで地動を計測できているかを明らかにすることである.この目的のため,静岡県や茨城県内等に50Hzサンプリング用のGPS観測装置を設置して観測してきた.本年度初めて「震度5弱」を含むデータを取得することに成功した.これらは2012年4月1日福島県沖地震(最大震度5弱),同年4月29日千葉県北東部(最大震度5弱),同年12月7日三陸沖(最大震度5弱)および2013年2月9日茨城県沖(最大震度4)である.これらの記録についてNetRSソフトウェアを用いてデータ解析を進めている.最初の3件については地震前のデータの取得が十分でなく,フィルター操作において解析が地震時までに収束せず,地震動を抽出するまでに至っていない.また,最後の地震については現在検討中である. 50Hzによる観測は現在茨城県2か所および静岡県1か所で引き続き実施している.データは現地収録方式とし,いわゆるチェーンメモリ方式によって2週間程度でデータが消去される方式をとっている.茨城県の観測点データについては携帯テレメータが行われているため,地震後すみやかにデータをダウンロードできる方式が導入された. これと並行して,データ解析手法について引き続き検討を行っている.前年度までの成果によって2Hz以上の地動に対しては見かけの位相・振幅が真の地動からずれる現象,すなわち周波数特性を持つことが明らかとなった.このことからフーリエ解析を導入して周波数特性を補正することで得られたデータから真の地動を再現する手法を開発すべく検討を進めている. 前年度までに得られたシミュレーション等に関する成果について前年度までに投稿した論文が印刷公表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
はじめて強震動のデータを取得することができたこと,前年度までの成果を印刷公表することができたことなど,研究の進展があった.しかしながらデータ解析がうまくいかず地震動をデータから抽出することができなかった.また,データ解析手法について,補正手法についての検討が十分に行えなかった.以上を総合的に判断すると当初の目的から研究はやや遅れているといわざるを得ない.
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Strategy for Future Research Activity |
データ取得と解析は大きな地震の発生を待つ必要があり,推進方策を検討することは困難である.一方,本研究を通じて見出された2Hz以上の周波数帯で補正が必要であることに関してはフーリエ変換・逆フーリエ変換を導入するなどの方式が見えており,この手法による補正技法を開発することを推進することにより,かなりの程度目的に沿った研究ができると考えられる.
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Research Products
(3 results)