Research Abstract |
本研究の目的は,地震動および電磁場変動の観測データをもとに,地震波と地球磁場との共鳴によって生じる電磁場生成の素過程を解明することである.そのために,地震波の到達,地震ダイナモ効果による電場の発生,イオンの運動・共鳴,などの素過程を観測データ,理論,そして数値シミュレーションを通して明らかにする.まず,これまでに得られた観測データを再検証するために,1999年トルコ・イズミット地震の電磁場データを再解析した.駿河湾で発生した地震の余震に対する観測を実施したが,機器設置後は観測に適する大きさの余震は発生しなかった.地殻構造探査では,自然地震とは別に,発破によって人工的に発生させた地震波が使われている.計3回,発破点の位置・時刻情報を教えていただき,発破点近くに地震計および電磁場計測器を設置し,人工地震による地震動およびそれに伴う電磁場変動を観測した.発破による地震動の周波数は自然地震のものよりも高い.今年度導入した高サンプリング・レート(1000Hz)のデータ・ロガーを使うことより,これまでよりも5倍の時間分解能で地震動および電場変動を観測することが可能となった.詳細なデータ解析の結果,地震波到達よりも早く電場変動が観測されていることがわかった.新潟県での2か所の観測では,電場変動の初期段階において,約30Hzの顕著な左回りの電場変動が観測された.左回りの電場変動は正イオンが運動していることを示す.また,この周波数は,観測点における地球磁場に対し,ナトリウム・イオンのサイクロトロン周波数に対応する.得られた結果は,これまでの我々の結果を支持するものである.
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