Research Abstract |
本研究の目的は,地震動および電磁場変動の観測データをもとに,地震波と地球磁場との共鳴によって生じる電磁場生成の素過程を解明することである.そのために,地震波の到達,地震ダイナモ効果による電場の発生,イオンの運動・共鳴,などの素過程を観測データ,理論,そして数値シミュレーションを通して明らかにする.今年度は自然地震によって生じる地震動および電磁場変動の観測を実施することができなかった.他方,地殻構造探査で使われている地震波は,時空間的な制御のもとで,発破によって人工的に発生させられている,新潟県において,発破点の位置・時刻情報を教えていただき,発破点近くに地震計および電磁場計測器を設置し,人工地震による地震動およびそれに伴う電磁場変動を観測した.発破による地震動の周波数は自然地震のものよりも高いが,高サンプリング・レート(1000Hz)のデータ・ロガーを使うことより,十分な時間分解能で地震動および電場変動を観測することが可能であった.詳細にデータを解析することにより,地震波の到達よりも電場変動が早く観測されていることがわかった.電場変動の初期段階において観測された約30Hzの左回りの電場変動は,地球磁場における地下水中のナトリウム・イオンの共鳴運動によって説明できる.また,自然地震および人工地震に対してこれまでに得られたデータを使用し,電場と地動速度の周波数応答を調べた,伝達関数のピーク位置の周波数は,観測点の地球磁場における,地下水に含まれるイオンの共鳴周波数に対応することがわかった.この結果は,我々が主張してきた電場変動のメカニズムを強く支持するものである.
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