2011 Fiscal Year Annual Research Report
投棄式乱流計を用いた超深海乱流強度の全球マッピングとその深層循環モデルへの組込み
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21340135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日比谷 紀之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192714)
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Keywords | 乱流散逸率 / 潮汐流 / 海底地形 / 内部重力波 / 超深海 / パラメタリゼーション / 非線形相互干渉 / 深層海洋大循環 |
Research Abstract |
平成23年12月の北海道大学水産学部・おしょろ丸による伊豆小笠原航海において、超深海乱流計を用いて得た海底直上までの乱流散逸率の鉛直分布を説明するため、鉛直2次元、非静水圧の仮定のもとに、数値シミュレーションを行った。グリッドサイズは水平50mおよび鉛直5m とし、背景場の成層としてWorld Ocean Atlas 2001の温度・塩分データから計算した伊豆小笠原海嶺付近の平均的な成層を用いた。初期状態としてGarrett-Munkスペクトルに基づいて振幅を決定した位相ランダムな線形内部重力波場を仮定し、水平境界で振幅2cm/s、M2潮汐周期の順圧潮流を外力として与えた。この設定のもとに、マルチビーム観測によって得られた水平2km以下の成分を含む海底地形データ(マルチビーム実験)、水平2km以下の成分を取り除いた海底地形データ(コントロール実験)の2 種類を組み込んで数値実験を行った。 その結果、海底地形の違いを反映して、マルチビーム実験では水平2km 以下、特に水平500m 以下のスケールの運動エネルギースペクトルがコントロール実験と比べて10-100倍強化されるため、励起される内部潮汐波エネルギー全体としては約1.5倍になることがわかった。また、マルチビーム実験ではコントロール実験と比べて乱流散逸率の値は1オーダー大きくなるが、その一方で、乱流散逸域の鉛直スケールは半分以下となるため、深海での局所散逸係数は2倍以上大きくなることが示された。この結果に基づき、既存のパラメタリゼーションでは定数として扱われてきた乱流散逸率の鉛直スケールや局所散逸係数を海底地形の水平波数分布に依存させることで新たなパラメタリゼーションを開発した。最後に、この改良されたパラメタリゼーションを海洋大循環モデルに組み込むことで、現時点において最も高精度な深層海洋大循環像を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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