2011 Fiscal Year Annual Research Report
超精密低エネルギー電子プラズマ制御による低次クラスター分子集合体の形成
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21340167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯塚 哲 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20151227)
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Keywords | エネルギー制御 / クラスター / インパルスプラズマ / 高分子 / ナノ構造 / スパッタリング / 金属酸化物 / 炭素重合反応 |
Research Abstract |
本研究では、プラズマ中の電子やイオンエネルギーを制御し、プラズマ中で連鎖的に起こる低次クラスターの形成過程やその生成機構を詳細に解明する。また、連続的に進行していくナノ構造の成長や形成制御のための基礎過程の解明と、その能動的制御のための基盤技術を開発する。酸化亜鉛や酸化チタンなどの金属酸化物のナノ構造形成のための初期過程の解明やメタンの分解による炭素分子クラスター化の実験を行い、以下の成果を得た。 1.酸化チタンや酸化亜鉛の球形ナノ微粒子の成長にはガス流同軸電極型放電方式が有用であることが明らかになった。前年度でも指摘したが、酸素/Ar流量比も球形ナノ微粒子に影響する。特に、酸素のみの放電のとき10nm程度の最も小さい粒径の球形ナノ微粒子が得られる。ターゲット自身の酸化が進み、スパッタ率が低下し、金属酸化物のクラスター化が抑制される。プラズマ領域も縮小してクラスターの滞在時間が減少し、微粒子の成長が抑制され、粒径が小さくなることが考えられる。10nm程度の微粒子サイズは量子ドシト太陽電池などへの応用が可能である。 2.炭素系クラスターの成長に伴う炭素系微粒子や薄膜形成には原料ガス中に含まれる炭素の重合反応が重要である。炭素の原料としてメタンや二酸化炭素などが用いることができる。メタン単独の放電ではC_2H_2、C_2H_4、C_2H_6などの重合生成物が多く形成され、クラスター化が進むことが確認された。一方、二酸化炭素のように酸素を含む系では酸化反応が進むため、上記の重合生成物の他にCH_3OH、HCOHなどのアルコールやホルムアルデヒドの生成が進行し、混合比や電力でクラスター化を制御できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属酸化物や炭素系クラスターの発生やナノ微粒子形成のための反応プロセス解明のためには、ガスの流れ場を利用することが良いことが実証された。ガスの停留している反応系ではナノ微粒子の成長が観測されない。ガスの流量比に着目した実験が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
クラスター形成からナノ微粒子形成までの時間経過を調べる必要がある。また、形成した微粒子の結晶構造の解明が必要とされる。更に、工学的な応用のためには大量に短時間に生成するための方法の模索も重要である。また、粒径分布を狭くし、単分散とみなせる球形ナノ微粒子の生成法を確立することも重要である。 ナノ微粒子のほかにナノロッドの成長法の開拓も重要である。ナノ微粒子の形成のバックグラウンドとして基板上に薄膜の生成が観測されでいる。これらの薄膜の構造解析を行うとともに、ナノロッドなどのナノ構造形成の可能性を調べる必要がある。
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